...鋼鉄よりも冷やかな光を湛(たた)えて...
芥川龍之介 「尾生の信」
...四馬はそれを冷やかに見下して...
海野十三 「少年探偵長」
...」博士は冷やかに笑つた...
薄田泣菫 「茶話」
...専制的な意志と皮肉な冷やかさが潜んでゐる...
辰野隆 「浜尾新先生」
...細君はその茶碗を冷やかな眼で見たなりで口を開けなかつた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...冷やかすような眼つきで私の顔じいッと視(み)つめなさるのんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...その顔には、冷やかな、ぴくりともしない尊大な表情が表われていたので――わたしにはまるで別人のように見え、あの眼差(まなざ)しもあの微笑(びしょう)も、てんで見当らなかったけれど、それでいてこの新しい姿になっても、わたしにはやはり素晴(すば)らしいお嬢さんと思われた...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...妙な事にはこの汚い床の上に打倒れてうめいている自分とは別にまた自分があって倒れている自分を冷やかに傍観しているような気がした事であった...
寺田寅彦 「病中記」
...冷やかな同じ心酔...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「拙者は死にたくない」竜之助は冷やかなもの...
中里介山 「大菩薩峠」
...ふと彼の時間は冷やかな秋の光で結晶し...
原民喜 「秋日記」
...而もまつたく冷やかな眼であつたから...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...あたりは暗く冷やかだった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...冷やかな、まるで見知らぬ者に対するような調子だった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...山気漸く冷やかにして夏とも覚えず...
夢野久作 「白くれない」
...女は冷やかにそうしたゴンクール氏を打ち見遣った...
夢野久作 「暗黒公使」
...けれど朝の冷やかな大気は室に満ちていて...
吉川英治 「源頼朝」
...峰の上の空は耳の痛むまでに冷やかに澄んでいた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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