...張り詰めたる胸の動悸今猶静め兼ね候...
石川啄木 「渋民村より」
...随分飜然(ひらり)と露(あらわ)れ兼ねない...
泉鏡花 「婦系図」
...そして予定通り昼夜兼行で遊び暮しながら僕はリヨンからのたよりを待っていた...
大杉栄 「日本脱出記」
...それから気兼ね苦労で育て上げられる...
高神覚昇 「般若心経講義」
...それからまた同じ囚人の渋河刑部六郎兼守といふ人が...
太宰治 「右大臣実朝」
...見兼ねて幾が叱りつけ居間へ蒔を追ひやるやうにするのだつたが...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...御用向きは何でございましょう」お松は堪(たま)り兼ねて催促してみました...
中里介山 「大菩薩峠」
...堪(こら)え兼ねて...
中里介山 「大菩薩峠」
...「はい」「先生が、わざわざ田辺からおいで下さいまして、もうすっかり、こっちのものだと太鼓判をお捺(お)しになりましたから、御安心なさいませよ」「はい」「そうしてね、お雪様、ここは閑静で、いつまで保養をなさっていてもかまいませんが、何を言うにも宿屋のことですから、行届き兼ねます、あなた様は、大阪へ帰りたい帰りたいとおっしゃいますが、いっそ、暫くこの先生のお宅に御厄介になって、それから充分おたっしゃになってから、大阪の方へお帰りになるようになさってはどうですか」「はい」何を言っても、はいはいと逆らわない...
中里介山 「大菩薩峠」
...お兼さんが十口(とくち)物をいう間に嫂は一口(ひとくち)しかしゃべれなかった...
夏目漱石 「行人」
...袷(あわせ)一枚ではとても凌(しの)ぎ兼ねるほどの山の中だ...
夏目漱石 「坑夫」
...店中の若い者が遠慮も気兼も忘れて...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...平次はもとより察し兼ねたわけではありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...無礼があってはなるまい」平次は見兼ねて八五郎の肩を叩きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...呑込み兼ねる樣子です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...のろのろと這い出し兼ねないぬらぬらと細く...
室生犀星 「香爐を盗む」
...兼好は片恋ゆえに...
吉川英治 「私本太平記」
...立てないのか」良正、良兼、はじめ、人々はようやく、あたりの杯盤の粉々になっているのや、仆れている壁代(かべしろ)などに気がついて――自分の鼻血を袖で拭いたりした...
吉川英治 「平の将門」
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