...上げ潮にむつかしい家裏(やうら)をみせた川魚料理の昼もほのぐらい煤天井(すすてんじよう)にうららかな水かげろうの文(あや)軒場に張り出した巣箱のようなエア・コンの上にかえりそびれた新聞社の伝書鳩がちよこなんと一つそろそろ夕刊の降版の時間だというのに...
安西冬衛 「水の上」
...上げ潮の刻限になってしまう...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...図は上げ潮の時の有様ですから...
寺田寅彦 「瀬戸内海の潮と潮流」
...これは盛運の上げ潮に乗った緊張の過ぎた結果であったと思われる...
寺田寅彦 「「手首」の問題」
...彼らは上げ潮に乗じて船を陸の内部へ進めていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それは多くの引き潮を交錯した一つの上げ潮のごときものであった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...上げ潮に揺るぎ出しそうな有様...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...上げ潮に搖られてお勝手寄りの柱に繋(つな)がれてあります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...夜の上げ潮はお秀の身體を呑んで搜しやうもありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それよりゃ上げ潮を待った方がいいや」三上はまだ獲物のそばにでもいるように薄気味わるく...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...道は上げ潮の運河の上の橋にかかっていた...
葉山嘉樹 「浚渫船」
...上げ潮の黒い水の色があらわれだしてくる...
久生十蘭 「あなたも私も」
...「上げ潮だな」と栄二は呟いた...
山本周五郎 「さぶ」
...お父っつぁんは上げ潮が心配だって云うの...
山本周五郎 「さぶ」
...上げ潮どきに裏の三十間堀へ...
山本周五郎 「山彦乙女」
...上げ潮の隅田川の水に灯の映って見える玄関の軒灯をくぐり...
横光利一 「旅愁」
...いつか上げ潮に變つたと見えて小波の飛沫が我等の爪先を濡らす樣になつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...いつか上げ潮に変ったと見えて小波の飛沫が我等の爪先を濡らす様になった...
若山牧水 「青年僧と叡山の老爺」
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