...万年青や葵などの植木鉢が置き並べられてあるその間をはなはだ巧みにそれこそ足音ひとつさせずにやって来ては...
上村松園 「画室談義」
...万年青(おもと)の名品を五百鉢から持っていた物数寄(ものずき)であった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...椿岳の画を愛好する少数好事家(こうずか)ですらが丁度朝顔や万年青(おもと)の変り種を珍らしがると同じ心持で芸術のハイブリッドとしての椿岳の奇の半面を鑑賞したに過ぎなかったのだ...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...そして浜万年青がいかにも生々してゐたのが印象として残つてゐる...
種田山頭火 「行乞記」
...万年青の赤さがあつたしぐるゝや供養されてゐる・土蔵そのそばの柚の実も(福沢先生旧邸)・すゝき一株も植ゑてある( 〃 )座るよりよい石塔を見つけた(宇平居)これが河豚かと食べてゐる(筑紫亭句会)・河豚鍋食べつくして別れた( 〃 )・ならんで尿する空が暗い世渡りが下手くそな菊が咲きだした(闘牛児からの来信に答へて)芙蓉実となつたあなたをおもふ( 〃 )枕許に...
種田山頭火 「行乞記」
...万年青の上の方、壁に七福神の卑俗な額が掛っていた...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...そこで庭へ下りて、残菊にしようか、柳にしようか、それとも冬至梅か、万年青(おもと)かなんぞと、あちらこちらをあさった揚句、結局、万年青が無事で、そうして豊富でよかろうというような選定から、座敷へ戻ってしきりに鋏(はさみ)を入れているうちに、これもいつしか三昧(さんまい)という気持に返って、お花の会の主席を取るような意気込みにもなり、ああでもない、こうでもない、この葉ぶりも面白くない、ではもう一ぺん庭をあさって、おもしろいのを見つけ出して来ようという気になっていると、折しも、前の庭の垣の外、いつぞや子供たちが凧(たこ)をあげて、ひっからませたあたりのところで、しきりに呼び声がしました...
中里介山 「大菩薩峠」
...万年青も煙管も台なしだ」「だって口惜しいじゃありませんか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...万年青どころの騒ぎではない...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...万年青が枯れたのが厄落しになろう...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...息をはずませながら万年青を諸手掴みにする...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...霧噴きは棚の下の木箱の中にある筈だ」職人はハッと万年青から手を離すと...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...それを万年青の底へ隠した...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...この位の知慧を働かせなくてはいかん」万年青を鉢から引き抜くと...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...明治の初年は例の万年青(おもと)の流行...
山本笑月 「明治世相百話」
...太陽が万年青(おもと)の果(み)のやうに真紅(しんく)にしつとりと濡(ぬ)れて落ちて行(ゆ)く...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...万年青、さっき、鶉などの流行は周期的世相らしく大正、昭和初期頃にもその例は度々あった...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
...万年青(おもと)狂いはふえるし...
吉川英治 「醤油仏」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??