...わが身から進んでそないに力んだかて阿房らしいやないか? て』冷かしてやったんけど大した意気込みで不平を云うとって...
岩野泡鳴 「戦話」
...この蒼白(あをじろ)い苦患(くげん)に取巻(とりま)かれてゐるわが身(み)は...
マルセル・シュヲブ Marcel Schwob 上田敏訳 「癩病やみの話」
...わが身のみならず家族を犠牲にしても反逆の志を生かそうとした...
高見順 「いやな感じ」
...廻転ドアにわれとわが身を音たかく叩(たた)きつけ...
太宰治 「虚構の春」
...一朝、生活にことやぶれ、万事窮したる揚句(あげく)の果には、耳をつんざく音と共に、わが身は、酒井真人と同じく、「文芸放談」...
太宰治 「もの思う葦」
...われとわが身に掛けているのであった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...その夕(ゆうべ)中入(なかいり)も早や過ぎし頃ふとわれは聴衆の中にわが身と同じく黄いろき顔したる人あるを見しが...
永井荷風 「書かでもの記」
...蔵書の間にまぎれ込んだ旧廬の落葉は今のわが身には寧ろ古書よりもなつかしいものとなった...
永井荷風 「写況雑記」
...いくら羨(うらや)んでも到底(たうてい)及びもつかないわが身の上を悲しんだ...
永井荷風 「すみだ川」
...やがてわが身はおひ立ちて恋路の闇の二人づれ末とげたさの念願を籠めて御堂にいのりしも風露一朝の夢なりき...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...わが身は山科の光仙林にしばらく杖をとどめていたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...わが身の科(とが)がおそろしいというように――「こうしたことになると知りましたら...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...里の名をわが身に知れば山城の宇治のわたりぞいとど住みうきと書いていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...いうまでもなくわが身を痛めた者への...
山本周五郎 「日本婦道記」
...わが身に添ひたる...
夢野久作 「白くれない」
...つねのわが身に返るかと意識された途中で...
吉川英治 「私本太平記」
...鎌倉さいごの日――彼女の仕えていた二位どの御所は、女御所なので、あの炎に会った泣き叫びも、ひと通りでなく、わけて二位どのには、高時との仲に生(な)した当年九ツと七ツになる二人の和子があったので、わが身もなく、兄の万寿(まんじゅ)を、五大院宗繁にあずけて先へ逃がし、弟の亀寿(かめじゅ)は、諏訪(すわ)三郎盛高が、これを負って、遠くへ落ちた...
吉川英治 「私本太平記」
...三なるほど――そう知ってから、道をゆく人々の口から洩れる言葉に耳をとめていると、「えらい人出じゃの」「何せい、お上人様のおすがたは、この春から、初めて拝むのじゃ、冬ごろから、久しく、お病気であったからの」「もう、すっかり、お健康(すこや)かになったかの」「さ……お年がお年じゃで、すっかりとはゆくまいが」「衆生(しゅじょう)のためには、わが身もない、病気もいとわぬと、こういう意気の法然(ほうねん)様じゃによって、押して、お出ましになるのじゃろう」「この暑さに――」「もったいないことよ」「でもきょうの専修念仏に、このように、多くの人が、お上人様の徳を慕うて集まるのを御覧(ごろう)じたら、さだめし、ご本望じゃあるまいか」「そねむのは、叡山(えいざん)の衆や、南都の坊さまたちじゃ」「これ……...
吉川英治 「親鸞」
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