...如何に天才でも非凡人でもこう易々(やすやす)とトントン拍子に成上ると勢い矜驕(きょうきょう)となり有頂天(うちょうてん)となるは人間の免かるべからざる弱点である...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...どんな無神経ものの眼にでも気がつかずにいない赤い三角形の蟇口はやすやすと細田氏の注視の標(まと)となり...
海野十三 「三角形の恐怖」
...やすやすとやられてしまったじゃありませんか...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...やすやすと逃げだすてだてとは...
江戸川乱歩 「大金塊」
...新たに親王殿下をやすやすとご分娩(ぶんべん)あそばされました...
田山花袋 「田舎教師」
...転身の契機もそうやすやすとは来ないのであった...
徳田秋声 「仮装人物」
...易々(やすやす)と転がし出して来て...
中里介山 「大菩薩峠」
...そうしたら今度はやすやすとあなたの傍まで行けるんです」「どうも信用出来にくいですね...
久生十蘭 「魔都」
...かねがね目をつけていた波瑠子の宝石をやすやすと手に入れることができた...
松本泰 「宝石の序曲」
...でも私の本はそうやすやすとは出ますまい...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...進歩を誇る吾々に易々(やすやす)と佳(よ)いものが出来にくいのと何たる対比であろうか...
柳宗悦 「苗代川の黒物」
...そうやすやすと越えられぬ障碍があるぞ」宗兵衛の声は重かった...
山本周五郎 「新潮記」
...実際に懸命に当ってみれば案外やすやすと登れるような例はいくらでもあることだ」さらに...
吉川英治 「三国志」
...関興を易々(やすやす)入れたるこそ...
吉川英治 「三国志」
...敵をやすやす歩かせる程...
吉川英治 「新書太閤記」
...易々(やすやす)と斬り得る足もとの敗者を斬らずに前髪の美少年は...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――彼女は、今夜、彼女たちが奉じる悪の一党の首領が、その黒幕から指令するところがあったので、奉行所内に忍びこんで、唖男と、掏児(すり)の新七とを、外部から、牢の合鍵をもって、やすやすと、破獄させて来たのであった...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...ダンテの描いた幻想はわれわれの心をやすやすと彼岸の生活へ引き入れて行くが...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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