...それでなおのこと近所中と親しくしているので...
浅沼稲次郎 「まあまあ居士の弁」
...悔(くや)むこともなかったろう……」「それだでなおのこと気の毒だ...
有島武郎 「星座」
...彼はなおのことしくしくと泣きむせんだのですが...
梅崎春生 「Sの背中」
...だが、そういう理屈だから、なおのこと、お役は御免を蒙ったほうがいいか? などと忖度するのはお笑い草である...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...その翌日もなおのこと社へ行くのが厭(いや)になった...
相馬泰三 「六月」
...なおのこと別れられへんようになるわ」「そやけど...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「男もそうだが、女はなおのこと、文学をやるには、たしかな覚悟がいるよ...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...なおのこと興奮の度が増してくるのでした...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...なおのこと彼女を狼狽(ろうばい)させた...
夏目漱石 「明暗」
...しかもそうした取消を申し込んだ「日本及び日本人」の一部では毎号私の悪口を書いている人があるのだからなおのこと人を驚ろかせるのです...
夏目漱石 「私の個人主義」
...酔っ払った人たちはなおのこと酔っ払って踊ります...
夢野久作 「豚吉とヒョロ子」
...警察に置いときゃなおのことだろう...
三好十郎 「その人を知らず」
...なおのこと取らせてやりたかったであろう...
柳田国男 「こども風土記」
...「わたくしはなおのこと...
吉川英治 「私本太平記」
...三十年前の京都を見ている人々はなおのこと...
吉川英治 「新書太閤記」
...その金をば近郷の窮民へお頒(わか)ちくださればなおのこと本望です...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――で、王の茶店婆さんなどにしてみれば、なおのこと、掃溜(はきだめ)の鶴とも見えたに相違なかった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...眺めやる七条、五条の大路には、糸毛の輦(くるま)、八葉(はちよう)の輦、輿(こし)や牛車が、紅葉(もみじ)をかざして、打たせているし、宏壮な辻々の第宅(ていたく)には、昼間から、催馬楽(さいばら)の笛が洩れ、加茂川にのぞむ六波羅(ろくはら)の薔薇園(しょうびえん)には、きょうも、小松殿か、平相国(へいしょうこく)かが、人招きをしているらしく、蝟集(いしゅう)する顕官の輦(くるま)から、眼もあやなばかり、黄金(こがね)の太刀や、むらさきの大口袴(おおぐち)や、ぴかぴかする沓(くつ)や、ろうやかな麗人がこぼれて薔薇園の苑(にわ)と亭にあふれているのが、五条橋から眺められたが、(羨(うらや)ましい)とは、感じもしなかったし、なおのこと、(不都合な平家)などとは、思いもしなかった...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索