...病気という事などはついぞ知らなかったその子は...
有島武郎 「或る女」
...何事があっても莞爾々々(にこにこ)とさっせえて、ついぞ、腹立たしったり、悲しがらしった事はないけに、何としてそのように難有(ありがた)い気になられたぞ、と尋ねるものがあるわいの...
泉鏡花 「悪獣篇」
...今迄ついぞ病気らしい病気をしたことがなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そうしたら余人(よじん)はともかくお前にだけはこの顔を見られねばならぬと勝気な春琴も意地が挫(くじ)けたかついぞないことに涙(なみだ)を流し繃帯の上からしきりに両眼を押(お)し拭(ぬぐ)えば佐助も諳然(あんぜん)として云うべき言葉なく共に嗚咽(おえつ)するばかりであったがようござります...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...十年このかたこんなに取りみだされましたのはついぞ存じませなんだことでござります...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...それ以後にはついぞ二度とは見たことがなかった...
寺田寅彦 「沓掛より」
...今日までほとんど四十年の間ついぞ再びこの蒲を見た記憶がなかったように思うのである...
寺田寅彦 「試験管」
...しかもあなたお一人にだけね! 私はこれまでついぞ...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...自分が一通の手紙も一通の覺え書きもついぞナターリヤ・ヴァシーリエヴナ宛に出した覺えのないことを確かめた...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...ついぞその人を見たことがない」「わかってみれば何でもないこと...
中里介山 「大菩薩峠」
...お銀様にとってはついぞ見たことのない人...
中里介山 「大菩薩峠」
...銅山(やま)のなかでもついぞ顔を合せた事がない...
夏目漱石 「坑夫」
...ついぞ夫の着物一枚縫った例(ためし)がなかった...
夏目漱石 「道草」
...ついぞ舞踏などしたこともない癖に...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...これまであの方の作品についぞ見たことのないような不思議に優鬱なものがあった...
堀辰雄 「楡の家」
...わたしはついぞこの部屋を見たことがなかった...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...ついぞ話したことがなかった...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...ついぞその娘さんを見た事が無い...
水上滝太郎 「大阪の宿」
便利!手書き漢字入力検索