...したり顔するその男が...
有島武郎 「描かれた花」
...人間業(わざ)では及ばぬ事じゃでな」笠井はそういってしたり顔をした...
有島武郎 「カインの末裔」
...銀平したり顔に打頷(うちうなず)き...
泉鏡花 「活人形」
...厭世だの自暴自棄だの或いは深い諦観だのとしたり顔して囁いてゐたひともございましたが...
太宰治 「右大臣実朝」
...したり顔の御穿鑿はせぬことでございます...
太宰治 「右大臣実朝」
...食卓にのぼる魚の値段を、いちいち妻に問いただし、新聞の政治欄を、むさぼる如く読み、支那の地図をひろげては、何やら仔細らしく検討し、ひとり首肯(うなず)き、また庭にトマトを植え、朝顔の鉢をいじり、さらに百花譜、動物図鑑、日本地理風俗大系などを、ひまひまに開いてみては、路傍の草花の名、庭に来て遊んでいる小鳥の名、さては日本の名所旧蹟を、なんの意味も無く調べてみては、したり顔して、すましている...
太宰治 「八十八夜」
...未亡人の眼がしたり顔に瞬(まばた)いた...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...もう二十年も前にドイツの何某が試みて失敗したものだよ」といったようなことをしたり顔に云って他人の真面目なそうして実際はかなり有望な独創的研究をあたまからけなしつけるようないわゆる大家も決して珍しくはない...
寺田寅彦 「変った話」
...そしてしたり顔に言った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...当時の様を想像して見てしたり顔に...
夏目漱石 「草枕」
...そんなわけですよ」八五郎は少ししたり顔でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...したり顔に頷きながら...
久生十蘭 「魔都」
...したり顔で任務を努め...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...学士(がくし)博士(はかせ)などいう人々三文(さんもん)の価(あたい)なしということしたり顔(がお)に弁(べん)じぬ...
森鴎外 「みちの記」
...寒笑はひどくしたり顔に坐り直した...
山本周五郎 「新潮記」
...「それでいいわ」彼女もしたり顔に頷き返し...
山本周五郎 「山彦乙女」
...そちにはもうひとりの男の子があるはずだ」「あ、いや」「ないというのか」「まこと、よそには本年十一と相なる不知哉丸(いさやまる)と申すのが、あるにはあるのでございますが」「それみい!」と、したり顔に...
吉川英治 「私本太平記」
...――死んで行く人間がなんで、これから花も咲こう実(み)も成ろうとする若い女子(おなご)と、ゆくすえの約束などを誓えよう」武蔵が思わずその点まで口を辷(すべ)らすと、城太郎には、そこの要点はまだよく理解し難(がた)いものと見え、すこし怪訝(けげん)そうに、「だから、……お師匠様、そんな約束なんかしないことにして、ただお通さんと会えばいいじゃないか」と、したり顔にいう...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??