...いわば、まだ嘴(くちばし)の黄色い青二才かもしれませんよ! どうです、たいして気にさわりもしないでしょう?」「どうしてどうして、それどころかかえって暗合に驚かされるよ!」イワンは愉快そうに熱中した調子で叫んだ、「おまえは本当にしないだろうが、さっきあの女(ひと)のところで会ったあとで、僕はそのことばかり心の中で考えてたんだ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...いわば目をさますことになった...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...いわば、関ヶ原以来の遺恨角力が、王政維新のあたりまで、まだじゅうぶん根を持っていると見れば見らるべき事情はあるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかしこの仕事は、いわば、流れの上に書いた文字を捕えようとするような性質の仕事である...
中谷宇吉郎 「民族的記憶の名残」
...いわば変化のないものと見ての話であります...
夏目漱石 「中味と形式」
...いわば相手と熟議(じゅくぎ)の結果から得た自然の勢力に過ぎない...
夏目漱石 「文芸委員は何をするか」
...Kはこの着物を見ることをいわば拒んで...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...実はそういう人達――いわば純粋な第三者の目に最も生き生きと映っているだろう恐らくは為合せな奥様としての私だけがこの世に実在しているので...
堀辰雄 「楡の家」
...いわば差し向いの淋しさ(ツワイザアムカイト)と云ったようなもの...
堀辰雄 「晩夏」
...そしてこの事実は逆に幸福が人格であるという命題をいわば世界史的規模において証明するものである...
三木清 「人生論ノート」
...いわば教授の哲学の材料を材料のままでいろいろ見せてくれたのである...
三木清 「読書遍歴」
...また背長(たけ)七尺余とあるも俗に人の長立(たけだ)ちを背といわばただおよそその長立ちの事にもあるべけれど...
南方熊楠 「十二支考」
...いわばこれがモンテーニュの修養であり鍛練なのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いわば北条は播州の一つの都であった...
柳田国男 「故郷七十年」
...いわば「稲の産屋」と見立てた信仰のあらわれであった...
柳田国男 「故郷七十年」
...殊に、零点の置きどころを改革するというような、いわば、既成の仮設や単一性を抹殺(まっさつ)していく無謀さには、今さら誰も応じるわけにはいくまいと思われる...
横光利一 「微笑」
...いわば神罰と見なすべき奴――...
吉川英治 「江戸三国志」
...いわば水に油であったのである...
吉川英治 「私本太平記」
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