...一層(いっそう)早口(はやくち)になって...
海野十三 「人造人間の秘密」
...多年この学に身を委ねてもかならずしも他の人らよりもいっそう自然の美を感ずるようになるや否や...
丘浅次郎 「いわゆる自然の美と自然の愛」
...そして熱が増されるなら従ってまたいっそう大きくなるからである...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...またいくぶん時間的である点においていっそう映画に接近するのである...
寺田寅彦 「映画芸術」
...科学者の発見の径路を忠実に記録した論文などには往々探偵小説の上乗なるものよりもさらにいっそう探偵小説的なものがあるのである...
寺田寅彦 「科学と文学」
...ジャン・ミシェルは腹立ちまぎれにいっそう太い声で言いつづけた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もっとも弱い者の権利のほうがなおいっそう忌むべきものであるかもしれない...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...いっその事思い切って南洋へでも出かけて...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...女をかかえていっそう高くとびはねた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...いっそう蔭が深くなり...
久生十蘭 「野萩」
...いっそ悲惨にも見えるのである...
久生十蘭 「魔都」
...この孤立の二人を更にいっそう密接に結合すべきではなかろうか...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...いっそ母には死んで貰ったほうがよかったかもしれない...
山本周五郎 「契りきぬ」
...馬春堂怪遊綺譚(ゆうきたん)か、まずいな、桃源(とうげん)夢物語、とすると人がほんとに思うまいし……武蔵野あやし草、これも面白くない、いっそ、馬春堂日記、ふん……それでもいいな、梅花堂流の易学者馬春堂先生、文筆(ぶん)もなかなか立ちますぞなンて、一ぺんに、名は売れ出すし、洛陽(らくよう)の紙価ために一時に高し……」――ところへ、郷士風(ごうしふう)の男がふたり、一人は膳を持ち、ひとりは銀の銚子を用意して、杉戸の口から現れ、「お客人、さだめし御退屈なことでござろう」馬春堂は起き上がって、あわてて行儀を直し、天神髯(てんじんひげ)を撫(ぶ)しながら、「おや、もう御飯時(ごはんどき)ですかな」「山家のこと、いつも珍しい御馳走もございませんで」「今、朝飯を頂戴したと思っていたら、もうお午、これで、またすぐに晩飯...
吉川英治 「江戸三国志」
...徳川殿にもいっそうお欣(よろこ)びでございましょう」「では...
吉川英治 「剣の四君子」
...「いっそ、よからん!」と、尊氏は胸のうちで言っているかのようだった...
吉川英治 「私本太平記」
...平常(へいぜい)のかれよりいっそう冷徹にその神経が冴えてきたようであった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...「あのように苦しがって、腕を斬れと仰っしゃるんですから、いっそのこと、斬って上げたほうがお楽になるんじゃありませんか」「ばかをいえ」良平も、十郎左衛門も、一言のもとに叱(しか)りとばした...
吉川英治 「宮本武蔵」
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