チーズローリングというユニークな競技についてご存知でしょうか。毎年イギリスのグロスターシャー州で行われ、世界中から多くの参加者と観客を集めています。参加者たちは、急斜面を駆け下りながらチーズを追いかけ、最初にゴールに到達した人がそのチーズを手に入れることができます。この競技の醍醐味は、その危険性とスピードです。
チーズローリングで使用されるチーズは、「ダブルグロスター(Double Gloucester)」という特別なものです。今回は、この特別なチーズと世界一硬いチーズについてご紹介します。
グラナ・パダーノとは?
ダブルグロスターは、イギリスのグロスターシャー州で作られる硬いチーズで、チーズローリングにおいて欠かせない存在です。
- 特徴: 深いオレンジ色で、風味が豊かで濃厚
- サイズ: 3kg(7ポンド)の円筒形
このチーズは転がしやすい形状と適度な重さを持っているため、競技に最適です。また、地元の特産品であることから、伝統を尊重する意味でも使用されています。
チーズローリングの競技者たち
チーズローリングの参加者たちは、この大きなダブルグロスターを追いかけて丘を駆け下り、一番早くゴールした人がそのチーズを手に入れることができます。23回の優勝を誇るチャンピオン、クリス・アンダーソン氏は以下のようにアドバイスしています。
- 競技の危険性を理解すること – 怪我をするリスクが高いので、十分な準備が必要です。
- 転んだらすぐに立ち上がること – 転倒は避けられませんが、迅速に立ち上がることが重要です。
- 走るときは体を後ろに傾けること – バランスを保つためのコツです。
その他の有名な硬いチーズ
ダブルグロスター以外にも、世界には多くの有名な硬いチーズがあります。いくつかご紹介します。
チェダー(Cheddar)
- 原産地: イギリスのサマセット州
- 特徴: 濃厚でシャープな風味
- 使用例: サンドイッチや料理のトッピング
- 名前の由来: イギリスのサマセット州にある「チェダー村」に由来します。この村では中世からチーズが生産されており、チェダーチーズの製造方法もこの地域で発展しました。
パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano-Reggiano)
- 原産地: イタリアのエミリア=ロマーニャ州
- 特徴: 非常に硬く、塩味が強い
- 使用例: パスタのトッピング、リゾット
- 名前の由来: イタリアのエミリア=ロマーニャ州の「パルマ(Parma)」と「レッジョ・エミリア(Reggio Emilia)」の地域名に由来します。このチーズはこれらの地域で生産されています。
グラナ・パダーノ(Grana Padano)
- 原産地: イタリアのポー渓谷
- 特徴: 少し柔らかく、甘みがある
- 使用例: パスタ、サラダ、リゾット
- 名前の由来: 「グラナ」はイタリア語で「粒状の」という意味で、チーズの粒状のテクスチャを指します。「パダーノ」はポー渓谷(Pianura Padana)を指し、この地域で生産されることを意味しています。
ペコリーノ・ロマーノ(Pecorino Romano)
- 原産地: イタリアのラツィオ州とサルデーニャ島
- 特徴: 羊乳から作られ、塩味が強い
- 使用例: カルボナーラやアマトリチャーナ
- 名前の由来: 「ペコリーノ」はイタリア語で「羊」を意味する「ペコラ(Pecora)」に由来し、羊乳から作られることを示しています。「ロマーノ」は「ローマの」という意味で、ローマ地域での生産が由来です。
エメンタール(Emmental)
- 原産地: スイス
- 特徴: ナッツのような風味と甘み
- 使用例: チーズフォンデュ、サンドイッチ
- 名前の由来: エメンタールの名前は、スイスの「エメン渓谷(Emmental)」に由来します。この地域でこの特有の穴のあるチーズが生産されています。
コムテ(Comté)
- 原産地: フランスのジュラ地方
- 特徴: ナッツのような風味と甘み
- 使用例: チーズボード、グラタン
- 名前の由来: コムテの名前は、フランスの「フランシュ=コンテ(Franche-Comté)」地方に由来します。この地方で作られるチーズであり、地方の名前をそのまま取っています。
世界一硬いチーズとは?
最後に、世界一硬いチーズとして知られるのは「カース・マルツゥ(Casu Marzu)」です。
- 原産国: イタリアのサルデーニャ島
- 別名: 「腐ったチーズ」や「蛆チーズ」
- 製法: ハエの卵を植え付け、幼虫がチーズを食べることで内部が分解されます
- 硬さと食感: 外側は非常に硬く、中身は幼虫の活動によってクリーミーになります
- 風味: 非常に強い風味があり、辛味や酸味、独特の香りがあります
サルデーニャ島の伝統的な食品であり、特別な機会や祝祭の際に食べられていますが、EUの食品衛生規則に違反しているため、公式には販売されていませんが、地元では伝統的に作られています。
カース・マルツゥを食べる時の注意点
- 新鮮なうちに食べることが推奨され、信頼できる生産者から購入することが重要です。
- 幼虫が死ぬと毒素を生成する可能性があるため、消費には注意が必要です。
チーズローリングや様々な硬いチーズ、その背景にある文化や伝統など、知れば知るほど奥深いですね。チーズを使った際には、これらの話で楽しんで頂ければ幸いです。