ラグビーワールドカップ2019の成功を受け、日本でもラグビーの人気が高まっています。しかし選手の安全に関する意識は、まだ十分とはいえません。
ラグビーにおける頭部損傷の問題は大きく、スポーツにおける安全性の確保は、選手の健康を守るだけでなく、スポーツの持続可能性にも直結します。特にプロ選手にとって、キャリアを通じた健康の維持は重要であり、安全性の確保はスポーツ産業全体に影響します。また、子どもたちが安全にスポーツを楽しめる環境を整えることは、次世代の育成にも寄与します。

この問題対策の一つに、衝突スポーツにおける力の強さを記録するスマートマウスガード(Smart gumshields)が、ギネス・シックス・ネイションズ(Guinness Men’s Six Nations)で初めて使用されました。
スマートマウスガードは、内蔵されたチップに、衝突による加速力(Gフォース)を記録し、リアルタイムデータを提供して、選手が頭部接触後に受ける頭部損傷評価(HIA:Head Injury Assessment process)プロセスに役立ちます。

スマートマウスガードの技術は、スポーツに限らず、労働安全衛生や教育現場での事故予防に関する研究への応用が考えられます。リアルタイムで安全性の評価ができる技術は、多くの分野でのリスクマネジメントに貢献する可能性があります。しかし技術の進歩は、スポーツの安全性を高める助けとなりますが、そのデータの解釈や応用にはさらなる研究と共同作業が必要です。
日本のラグビーの発展においても、スマートマウスガードのような技術の導入は、重要なステップとなり得るでしょう。