日本には中秋の名月や十五夜など、月にまつわる美しい言葉や伝統がありますが、各月の満月に通常は名前はありません。一方、アメリカでは「ウルフムーン」や「ハーベストムーン」など、各月の満月に独特の名前がつけられています。
それらの名前の多くは、アメリカの先住民族であるネイティブアメリカンに由来しています。今回はネイティブアメリカンが名付けた満月の名前を中心に、他の英語圏での呼び方や由来もご紹介します。
月ごとの満月の名前とその由来
1月: ウルフムーン(Wolf Moon)
由来:真冬に食糧が不足している狼の遠吠えが聞こえることから。
他の名前:オールドムーン(Old Moon)、アイスムーン(Ice Moon)
2月: スノームーン(Snow Moon)
由来:この月は特に雪が多いため。
他の名前:ストームムーン(Storm Moon)、ハンガームーン(Hunger Moon)
3月: ワームムーン(Worm Moon)
由来:春が近づき、地中のミミズが活動を始めることから。
他の名前:クラストムーン(Crust Moon)、サップムーン(Sap Moon)
4月: ピンクムーン(Pink Moon)
由来:この月にはピンク色の花が多く咲くため。
他の名前:スプラウティンググラスムーン(Sprouting Grass Moon)、エッグムーン(Egg Moon)
5月: フラワームーン(Flower Moon)
由来:多くの花が咲き誇るこの時期にちなんで。
他の名前:コーンプランティングムーン(Corn Planting Moon)、ミルクムーン(Milk Moon)
6月: ストロベリームーン(Strawberry Moon)
由来:この月には野いちごが収穫されるため。
他の名前:ローズムーン(Rose Moon)
7月: バックムーン(Buck Moon)
由来:この月に雄鹿の新しい角が生えるため。
他の名前:サンダームーン(Thunder Moon)、ヘイムーン(Hay Moon)
8月: スタージョンムーン(Sturgeon Moon)
由来:この月にはチョウザメの漁が行われることから。
他の名前:レッドムーン(Red Moon)、グリーンコーンムーン(Green Corn Moon)
9月: ハーベストムーン(Harvest Moon)
由来:この月には多くの作物が収穫されるため。
他の名前:コーンムーン(Corn Moon)
10月: ハンターズムーン(Hunter’s Moon)
由来:この月は狩猟が行いやすい月なので。
他の名前:トラベルムーン(Travel Moon)、ダイインググラスムーン(Dying Grass Moon)
11月: ビーバームーン(Beaver Moon)
由来:ビーバーが冬のためのダム作りを始めるこの時期にちなんで。
他の名前:フロストムーン(Frost Moon)
12月: コールドムーン(Cold Moon)
由来:この月は特に寒いため。
他の名前:ロングナイトムーン(Long Night Moon)、オークムーン(Oak Moon)
特別な満月の名前
ブルームーン(Blue Moon)
一般的には1か月に2回満月が現れる場合、その2回目の満月を「ブルームーン」といいます。
この現象は数年に一度しか起こりません。元々はアメリカの農業暦に由来し、一つの季節(春分、夏至、秋分、冬至)に4回満月が出現する際、3回目の満月を指していました
ブラッドムーン(Blood Moon)
皆既月食の時、月が地球の影に隠れることで月が赤く見える現象のことです。
スーパームーン(supermoon)
この言葉は天文用語ではなく、占星術から生まれた言葉です。一般的には、月(満月または新月)が地球に最も接近する瞬間に、地球から見た月が最も大きく見えるときを指します。
マイクロムーン(micromoon)
月が地球から最も遠くなるときを指します。他にも「ミニマムーン」とも言います。
スーパームーンとマイクロムーンの違い
スーパームーンとマイクロムーンを見た目の直径で比較すると、スーパームーンはマイクロムーンより約14%大きく、明るさは約30%増加します。
ちなみに日本で最も美しい月とされる中秋の名月は旧暦の8月15日に基づいています。新暦の日付は年によって異なりますが、2023年の中秋の名月は9月29日です。異文化の月に関する伝承や名前にも注目し、お月見の楽しみを広げていただけたらと思います。