...何れを憎しと思はざるに身一つは多くの人に從ひ難い...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...ほとんど身一つで...
太宰治 「きりぎりす」
...いきなり抱き竦(すく)めて愛撫して愛撫して完膚なきまでに愛撫してやりたいほどの激情と……その異った二つの感情の縺(もつ)れを身一つに感じながら...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...「身一つに頭(かしら)八つ尾八つあり」は熔岩流が山の谷や沢を求めて合流あるいは分流するさまを暗示する...
寺田寅彦 「神話と地球物理学」
...物質性はそれ自身一つの最後の原理である...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...反対であろうと構うものか! 彼らは少なくとも生きてるではないか!……生はそれ自身一つの美徳であって...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それ故(ゆえ)事の面倒にならぬ中(うち)わが身一つに罪を背負って死出の旅路を志(こころざ)し申候(もうしそうろう)...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...かりそめにも女の身一つを山の中へ投げ出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...「お組はここへ来るとき、何か荷物らしいものを持って来たのかえ」「いえ、本当に身一つで、手拭から櫛(くし)まで貸しました」「お小遣は?」「巾着(きんちゃく)も紙入も持っていなかったようです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...繩張りを捨てて身一つになったというのは嘘じゃないらしい...
久生十蘭 「復活祭」
...若し我身一つの秋と思ふと詠むならば感情的なれども秋ではないがと當り前の事をいはゞ理窟に陷り申候...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...わが身一つとなったわけでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...別に玉子の黄身一つへ砂糖を小匙一杯混ぜてそれへバターを大匙一杯と芥子(からし)を小匙一杯半塩胡椒を少し加えて山葵卸(わさびおろ)しで擦卸(すりおろ)したチースを大匙二杯入れて皆(み)んなよく混ぜて暫(しばら)く煉ります...
村井弦斎 「食道楽」
...元はそれ自身一つの誹諧であったかと思われ...
柳田国男 「木綿以前の事」
...その身一つ遁れて...
吉川英治 「三国志」
...それも帝のお身一つでなく...
吉川英治 「私本太平記」
...行雲流水に身一つを飄々(ひょうひょう)と送っていたり...
吉川英治 「新書太閤記」
...わが老いの身一つを見出して...
吉川英治 「宮本武蔵」
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