...」「お蔦さんの事よ、」と言いかける、口の莟(つぼみ)が動いたと思うと、睫毛(まつげ)が濃くなって、ほろりとして、振返ると、まだそこに、看護婦が立っているので、慌てて袂(たもと)を取って、揉込(もみこ)むように顔を隠すと、美しい眉のはずれから、振(ふり)が飜(ひるがえ)って、朱鷺(とき)色の絽(ろ)の長襦袢の袖が落ちる...
泉鏡花 「婦系図」
...」ずいと入って誰にともなく言いかけると...
犬田卯 「米」
...それが時々訳の解からない事を自分に言いかけるようだ...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...と言いかけると直ぐに...
太宰治 「十二月八日」
...そして浅井が何か言いかけると...
徳田秋声 「爛」
...これは其方(そのほう)が何かと言いかけるものだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここまで言いかけると...
中里介山 「大菩薩峠」
...おどすように言いかけると...
中里介山 「大菩薩峠」
...昨日(きのう)の振袖(ふりそで)なんか……」と言いかけると...
夏目漱石 「草枕」
...水の力に逆らわないでかえってこれを電力に変化して立派に役に立たせる……」と寒月君が言いかけると...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...礼子ちゃんと……」勘三が何気なく言いかけると...
林芙美子 「泣虫小僧」
...いま読んでやるから」生きている人間に言いかけるようにそう言って置いて...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...まろはもう睡くってたまりませんから」と言いかけるので...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...典侍はまたもう一度追って来て「橋柱」(思ひながらに中や絶えなん)と言いかける所作(しょさ)までも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...姉弟らしくものを言いかけるのに羞恥(しゅうち)も覚えて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...千はやふるかみをも足に巻くものかと言いかけると男も抜からず...
柳田国男 「木綿以前の事」
...なおまた……」ここまで言いかけると...
吉川英治 「私本太平記」
...ぜひとも、うん、といって貰わないうちは」「じゃ、俺は……」と、青砥(あおと)が、言いかけるのを、湧井(わくい)はあわてて、「待て待て...
吉川英治 「無宿人国記」
便利!手書き漢字入力検索