...見るともなくその観音開きの扉を眺めていたが...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...今しも兩國へ兩國へとくりだす花火船を見るともなく眺めてゐた...
竹久夢二 「砂がき」
...見るともなくそれに眼をつけている時...
豊島与志雄 「反抗」
...一人の歩哨(ほしょう)が見るともなくこの爛々(らんらん)たる狼星(ろうせい)を見上げていると...
中島敦 「李陵」
...片隅でじっとどこを見るともなく見入っている...
中谷宇吉郎 「英国の物理学界と物理学者」
...その烟のからんで行く電燈の方を見るともなく見上げてゐた...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...傍らの棕梠の蔭に身を隠すようにしてなおも見るともなくその方を眺めていると...
久生十蘭 「魔都」
...どれを見るともなく見入つてゐた...
堀辰雄 「おもかげ」
...真昼過より夕影椎の樹に落つる迄何を見るともなく酔ふたるが如く労れたるが如くうつとりとして日を暮らすことさへ多かり...
正岡子規 「小園の記」
...見るともなく麦畑の方に眼をやる...
三好十郎 「おりき」
...私はその縫目などを見るともなく査べるやうにすると...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...私は見るともなく二人の行為を鍵穴から覗いてしまったのだ...
山川方夫 「愛のごとく」
...なにを見るともなく眸子(ひとみ)を凝らしていた...
山本周五郎 「その木戸を通って」
...どこを見るともなくぼんやりと前方を見まもりながら...
山本周五郎 「年の瀬の音」
...どう耐えぬくのです」「一ノ関の手をだ」甲斐はどこを見るともなく眼をあげ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...見るともなく見ておりますと...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...どこを見るともなく...
吉川英治 「江戸三国志」
...見るともなく事務室の藥品棚の中にある古錆びた藥品を見詰めながら...
若山牧水 「樹木とその葉」
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