...しかし勿論そんなことは気の優しい彼女にはどちらでも善かった...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...でね、此を聞くと、人の好(い)い、気の優しい、哥太寛の御新姐(ごしんぞ)が、おゝ、と云つて、袖(そで)を開(ひら)く……主人もはた、と手を拍(う)つて、」とて、夫人は椅子なる袖に寄せた、白鞘(しらさや)を軽く圧(おさ)へながら、「先刻(せんこく)より御覧に入れた、此なる剣(つるぎ)、と哥太寛の云つたのが、――卓子(テエブル)の上に置いた、蝋塗(ろうぬり)、鮫鞘巻(さめざやまき)、縁頭(ふちがしら)、目貫(めぬき)も揃(そろ)つて、金銀造りの脇差(わきざし)なんです――此の日本の剣(つるぎ)と一所(いっしょ)に、泯汰脳(ミンダネオ)の土蛮(どばん)が船に積んで、売りに参つた日本人を、三年前(さき)に買取(かいと)つて、現に下僕(かぼく)として使ひまする...
泉鏡花 「印度更紗」
...もとから気の優しい省作は...
伊藤左千夫 「春の潮」
...あれでも気の優しい素直な男だわ...
ストリンドベルヒ August Strindberg 森鴎外訳 「一人舞台」
...気の優しい情に脆い男でした...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「女房ども」
...気の優しい連中ではあるが...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...気の優しい良い方で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...気の優しい方なればこんなむづかしい世にどのやうの世渡りをしてお出(いで)ならうか...
樋口一葉 「十三夜」
...気の優しいもので...
正岡容 「我が圓朝研究」
...蒼白い気の優しい顔にぼんやり同情とも困惑ともつかない表情を浮べた...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...私は会ったことがないが老先生と反対にデップリと肥った気の優しい人で...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...気の優しい将頼すら...
吉川英治 「平の将門」
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