...その時思いがけなくも朝がけに倉地が見舞いに来た...
有島武郎 「或る女」
...もっとも、こういうことは、師匠の眼の前で実行してはお叱(しか)りを受けますから師匠の眼に留まらないような時を見て、朝がけとか、夜業のしまいとかいう時にコッソリといたずらをするのであります...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...明日(あす)は朝がけがあるだろうとか...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...朝がけの棟梁が弟子を引連れて通りがかりに発見したというのが最初です...
中里介山 「大菩薩峠」
...朝がけに歸つて來ると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...なにしろもう朝がけ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...……なぜかと言いますとね、どんな器用なことをしても、あのわずかなあいだ、しかも朝がけ、ひと目のたくさんあるなかで三十二の千両箱をすりかえるなんてえ芸当ができるわけのもんじゃない...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...「この朝がけからご厄介なこった...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...朝がけに両国まで客を送って行って...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...すぐ来てください」雲の低く垂れた雪もよいの朝がけ...
久生十蘭 「雲の小径」
...六月はじめのある日、この原にオランダ人献上の大臼砲(だいきゅうほう)を据えようというので、御鉄砲御用衆といわれる躑躅(つつじ)の間詰(づめ)のお歴々が、朝がけから、露もしとどな夏草を踏みしだき、間竿(けんざお)を持った組下を追いまわして、射場の地取(じど)りをしていた...
久生十蘭 「ひどい煙」
...谷中(やなか)の方にチト急な用があって、この朝がけ、出尻をにょこにょこ動(うご)かしながら、上野山内(さんない)の五重の塔の下までやってくると、どこからともなく、「……おい、伝兵衛、伝兵衛」チャリ敵の伝兵衛、大して度胸もない癖に、すぐ向(むか)ッ腹(ぱら)をたてる性質だから、たちまち河豚提灯(ふぐちょうちん)なりに面(つら)を膨(ふく)らし、「けッ、なにが伝兵衛、伝兵衛だ...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...こんな朝がけから……なにかご用でしたの?秋元(慇懃に)今朝ほど...
久生十蘭 「喪服」
...朝がけからお騒がせしましたが...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...朝がけの時刻も逸(いっ)してしまおうに」堂の外では...
吉川英治 「源頼朝」
...夜討朝がけは敵の虚(きょ)を衝(つ)いてこそ効(かい)はあるのだ...
吉川英治 「源頼朝」
...今暁の朝がけは延期することに決めた...
吉川英治 「源頼朝」
...朝がけを取止めたからには...
吉川英治 「源頼朝」
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