...振り分け髪の時分から...
有島武郎 「或る女」
...二人の曲者はしばし戸の外にたゆたいしが、今はこらえ兼ねたるように四つの手ひとしく扉をおしひらきて、一斉に突貫し、室のなかほどに横たわりし新聞綴込(とじこみ)の堡塁(ほうるい)を難なく乗り越え、真一文字に中将の椅子(いす)に攻め寄せて、水兵は右、振り分け髪は左、小山のごとき中将の膝を生けどり、「おとうさま!」五の二「おう、帰ったか」いかにもゆったりとその便々たる腹の底より押しあげたようなる乙音(ベース)を発しつつ、中将はにっこりと笑(え)みて、その重やかなる手して右に水兵の肩をたたき、左に振り分け髪のその前髪をかいなでつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...今日(きょう)は縫い取りがよくできたッて先生おほめなすッてよ」と振り分け髪はふところより幼稚園の製作物(こしらえもの)を取り出(いだ)して中将の膝の上に置く...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...おとうさまてばヨウおとうさま」と振り分け髪はつかまりたる中将の膝を頡頏台(はねだい)にしてからだを上下(うえした)に揺すりながら...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...兄弟はほとんど同じほどの大きさで振り分け髪に直衣(のうし)を着せられて来ていたのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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