...博士は、隅(すみ)っこの破れ椅子に腰をうずめ、息をひそめて、X号のつぶやきに聞き耳をたてている...
海野十三 「超人間X号」
...やや疲れ気味の二人を照す宵からの曇り空が雪にかはりさつき(まど)から見ればもう一面に白かつたがただ音もなく降りつもる雪の重さを地上と屋根と二人のこころとに感じむしろ楽みを包んで軟かいその重さに世界は息をひそめて子供心の眼をみはる「これみや...
高村光太郎 「智恵子抄」
...息をひそめてひつそりうずくまつてゐたのだ...
太宰治 「津軽」
...ただどこかのすみっこに息をひそめてじっとしていたい気分が...
豊島与志雄 「春盲」
...息をひそめていました...
豊島与志雄 「立札」
...息をひそめていると...
豊島与志雄 「非情の愛」
...ハツと一時に息をひそめて...
長與善郎 「青銅の基督」
...猫のやうに息をひそめて前後を見た...
新美南吉 「登つていつた少年」
...その他の劇團の多くも息をひそめてしまつたのに...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...じっと息をひそめていた...
山本周五郎 「さぶ」
...暫らくは息をひそめているようすだった...
山本周五郎 「泥棒と若殿」
...しばらくわが子のおもかげを追うようにじっと息をひそめていたが...
山本周五郎 「日本婦道記」
...息をひそめていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...じっと息をひそめている...
山本周五郎 「夕靄の中」
...「姜維とはいったい何者か」と息をひそめて訊いた...
吉川英治 「三国志」
...今か今かと息をひそめて待ち切ったが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...ハタと息をひそめて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...とたんに、息をひそめて、死骸そのもののように、地上に俯ッ伏していた老先生は、いきなり、猿臂(えんぴ)をのばして、怪美人玉枝の袖をグイとつかまえた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
便利!手書き漢字入力検索