...吾れ談を費すに及ばずといはれたりき...
芥川龍之介 「僻見」
...今の世は遠く古の希臘(ギリシア)羅馬(ロオマ)の世に及ばずと知り給へ...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...深く山の峡(かい)を探るに及ばず...
泉鏡花 「一景話題」
...先生は言うに及ばずながら...
泉鏡花 「婦系図」
...「その事なれば及ばずながら...
巌谷小波 「こがね丸」
...御領内一般は申すに及ばず...
江見水蔭 「備前天一坊」
...膝までには及ばず...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...賞を受くるものの名譽は論ずるに及ばず...
長岡半太郎 「原子核探求の思い出」
...安定度は均一な電子の月であるゆえ恐るゝに及ばず...
長岡半太郎 「原子核探求の思い出」
...主體は無くなつた過去を悼むに及ばず未だ來らざる將來をかこつこともなく...
波多野精一 「時と永遠」
...振向ひて見てくれねば此方も追ひかけて袖を捉らへるに及ばず...
樋口一葉 「にごりえ」
...「過ぎたるは及ばず...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...おれの大曽祖父、同名、久太夫と深志の大曽祖父の恒右衛門が、それならば、腹でも切って埓をあけようかといって、割場の詰合いへ掛取りを呼びこみ、辞宜にも及ばず、下座(しもざ)に並んで腹を切って見せた...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...俗人は申すに及ばず...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...一、恋を一句にて棄(す)てずといふ定めあり、従ふに及ばず...
正岡子規 「俳諧大要」
...伯母はハイと手紙を取りて兄へ渡すに伯父がそれ渡してはと争いかけしも力及ばず...
村井弦斎 「食道楽」
...及ばずながら、新九郎も、きっとお力を貸し申そう」腕ぐみから顔をあげて、彼はきッぱりこう云った...
吉川英治 「剣難女難」
...そちの手で、およそ信玄の遺法といえるものは、軍書、兵制の文書、土木、経済にかかわるものは、申すに及ばず、武器、兵具、馬具の類から、地誌絵図類、その他、陣具、陣絵図にいたるまで――手に入るかぎりの物を、最短日のまに、甲州地方より取り蒐(あつ)めて来い」と、いいつけ、なお、「もと、甲州の士(さむらい)にて、それらの一部門に通じながら、山野にかくれておる古老などもあらば充分、礼をもって酬(むく)ゆる程に、探し出して、連れ参れ」とも、命じた...
吉川英治 「新書太閤記」
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