...わびしさは高い香気となり...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...わびしさの堪えか...
太宰治 「I can speak」
...わびしさに堪(た)えられなかった...
太宰治 「姥捨」
...しかもその画には秋風のような断腸(だんちょう)のわびしさがにじみ出て居りました...
太宰治 「虚構の春」
...いまも、ふと、蚊帳の中の蚊を追い、わびしさ、ふるさとの吹雪と同じくらいに猛烈、数十丈の深さの古井戸に、ひとり墜落、呼べども叫べども、誰の耳にもとどかぬ焦慮、青苔ぬらぬら、聞ゆるはわが木霊(こだま)のみ、うつろの笑い、手がかりなきかと、なま爪はげて血だるまの努力、かかる悲惨の孤独地獄、お金がほしくてならないのです...
太宰治 「二十世紀旗手」
...しかし、そのわびしさが、ただ自分の家庭とだけつながっている時には、はたから見て、頗(すこぶ)るみにくいものである...
太宰治 「如是我聞」
...雨漏のあとのわびしさ...
種田山頭火 「其中日記」
...一種異様なわびしさが...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...同時にまた一般的な「春雨」のどこかはなやかに明るくまたなまめかしい雰囲気(ふんいき)と対照されてこの雨漏りのわびしさがいっそう強調される...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...はしゃいだ笑声などが頭に響いてわびしさを増すばかりである...
寺田寅彦 「竜舌蘭」
...ことばで言い表せないようなさびしさとわびしさとが...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 荒木光二郎訳 「フランダースの犬」
...そんな苦しさもわびしさもさることながら...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...わびしさを漂わせている中で...
中里介山 「大菩薩峠」
...丁度黄昏どきのわびしさの影のようにとぼとぼとした気持ちで体をはこんで来た...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...それまでの大内山のわびしさは...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...多分は此名に托して食物のわびしさを紛らさうとしたのであらう...
柳田國男 「食料名彙」
...わびしさがますます深く感ぜられて来る...
夢野久作 「鼻の表現」
...わびしさも喜びもなかった...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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