...自分だけの獨よがりの淺はかな...
會津八一 「趣味の向上」
...4獨創を誇るは多くの場合に於いて最も惡き意味に於ける無學者の一人よがりである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...もともと二人ともひとりよがりの世間知らずなので...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...そしてそれは決してひとりよがりなユートピアを夢みているのではなくて...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...救われないひとりよがり――AH! 私のろんどんは瑕(きず)だらけな緩動映画(スロウ・モウション)の...
谷譲次 「踊る地平線」
...独りよがりの茶人などが科学文明の恩沢を度外視して...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...またひとりよがりの自慰的お座敷芸でもない...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...この時個人は独よがりであることを許されない...
戸坂潤 「科学方法論」
...云うまでもなく文学者達の世界観の一種の世間見ずと独よがりとから発生する(そして科学者は之に対して消極的な相槌を打つ)...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...独りよがりは最もいけない...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...独(ひと)りよがりの心理学者のようになります...
夏目漱石 「創作家の態度」
...ひとりよがりがはいって面白くない...
野村胡堂 「胡堂百話」
...一人よがりの男なんてまっぴらだよ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...辻の独りよがりの興奮のやうな気がするのである...
北條民雄 「道化芝居」
...……そうして私はあの方のそんな一人よがりをお責めしたい気もちで一ぱいになっていた...
堀辰雄 「楡の家」
...葉子はその貧弱な肉体と一人よがりの気質を軽蔑憎悪している...
宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
...ひとりよがりの佗びしいヒネくれたわたしの小さな考えであったのだ...
室生犀星 「みずうみ」
...たとえば、この京都だけにも、黒谷には、越前浄教寺村から出た富田勢源(せいげん)の一門があるし、北野には小笠原源信斎、白河には、弟子はもたぬが、伊藤弥五郎一刀斎が住んでおる」「それがどうした」「だから、一人よがりは、通用せぬというのだ」「こいつ! ……」と、高慢の鼻を弄(なぶ)られた男は膝をのりだして、「やい、前へ出ろ」「こうか」「貴様は、吉岡先生の門下でありながら、吉岡拳法流をくさすのか」「くさしはせぬが、今は、室町御師範とか、兵法所出仕といえば、天下一に聞え、人もそう考えていた先師の時代とちがって、この道に志す輩(やから)は雲のごとく起り、京はおろか、江戸、常陸(ひたち)、越前、近畿、中国、九州の果てにまで、名人上手の少なくない時勢となっている...
吉川英治 「宮本武蔵」
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