...那処(あすこ)には島田も丸髷もない代りに安価(やすで)な「西洋」が幕ごとに転がつてゐる...
薄田泣菫 「茶話」
...有難てえ方だと思ってやすで...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...かれが目的を立てる時は必ずやすでにかれは大劫初(ごうしょ)からそれを目的とせねばならぬ様に運命づけられている...
辻潤 「錯覚自我説」
...今やすでにその機会を得たり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...併し現在ではもはやすでに決して信頼してはならない獄吏に化している...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...はやすでにグレーヴの刑場もそれをきらっている...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...蚯蚓や玉やすでを養成する...
豊島与志雄 「夢の図」
...蟻、やすで、むかで、げじげじ、みみず、小蛇(こへび)、地蟲(じむし)、はさみ蟲、冬の住家(すみか)に眠って居たさまざまな蟲けらは、朽ちた井戸側の間(あいだ)から、ぞろぞろ、ぬるぬる、うごめき出(いだ)し、木枯(こがらし)の寒い風にのたうち廻(まわ)って、その場に生白(なまじろ)い腹を見せながら斃死(くたば)ってしまうのも多かった...
永井荷風 「狐」
...豈計(あにはか)らんやすでに一年も二年もボンヤリして下宿に入ってなすこともなく暮しているものがある...
夏目漱石 「道楽と職業」
...また南番所の組下が手を叩いて笑いはやすであろう...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...馬陸(やすで)ごとく環曲(まがっ)て転下すともいい...
南方熊楠 「十二支考」
...進歩のめやすです...
宮本百合子 「新しい抵抗について」
...文壇めやすでない...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...足跡に蝟集(あつ)まっているうじうじしている馬陸(やすで)を指さした...
室生犀星 「後の日の童子」
...近代の御伽百物語(おとぎひゃくものがたり)の徒に至りてはその志(こころざし)やすでに陋(ろう)かつ決してその談の妄誕(もうたん)にあらざることを誓いえず...
柳田国男 「遠野物語」
...呼ぼうにも早やすでに遅い...
横光利一 「欧洲紀行」
...いやすでに孫策にはその言が不幸にも的中していたのである...
吉川英治 「三国志」
...この一城――いやすでに三の丸を失った半城の孤塁(こるい)が...
吉川英治 「新書太閤記」
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