...ぽつぽつ雨が降つて来た...
芥川龍之介 「雑筆」
...その日ばかりは「顔合せ」の意味もあるのか(酒肴がつきもの)ぽつぽつとみんながやって来る...
犬田卯 「瘤」
...申しわけばかりにぽつぽつひいておいでになりましたが...
鈴木三重吉 「古事記物語」
...大空にはいつの間にか紙鳶(たこ)の揚がっているのが目につき同時に今まで打棄(うっちゃ)ってあった野良の田畑にぽつぽつと百姓の姿を認めるようになります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...それはそのまえからお遊さんが妹夫婦とあまりいききをしすぎるということが小曾部の方はなんともいうものはござりませなんだが粥川家の方でしゅうとめや親類のあいだにぽつぽつうわさのたねになっておりましてお静さんの気が知れないというようなことを申す者が出てまいりました...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...ぽつぽつ筆を加えはじめた...
徳田秋声 「黴」
...ぽつぽつと古靴を持つて来る人がありました...
豊島与志雄 「太一の靴は世界一」
...平野にぽつぽつと立っている荒涼(こうりょう)とした灰色の塔の...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 荒木光二郎訳 「フランダースの犬」
...その間拍子に、木や軒から落ちるのか、さらさら、ぽつぽつ、と粗い音...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...「ところへ閑人(ひまじん)が物珍しそうにぽつぽつ集ってくる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...今は中流生活者の住宅地となって煉瓦建の家が樹林の間にぽつぽつ見えるけれども...
野上豊一郎 「シェイクスピアの郷里」
...勘三も黙ったままぽつぽつ歩いた...
林芙美子 「泣虫小僧」
...その帰途車がパンクして仕方なしにぽつぽつ歩き出したことがあつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...ぽつぽつのある枝にうてなも短かく花が帰り咲きをしてゐる...
室生犀星 「忘春詩集」
...手柄(てつか)の鮫のぽつぽつした表面や...
室生犀星 「幼年時代」
...茶色なぽつぽつが出来て...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...そして己が問うままにぽつぽつこんな事を話した...
森鴎外 「蛇」
...ぽつぽつ江戸へ帰って様子を見ちゃどうだろう」「俺も考える度に腕が疼(うず)いているんだ...
吉川英治 「剣難女難」
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