...ひとつ残らずその手製だった...
永井隆 「この子を残して」
...ひとつ残らずそうなんだから...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...動座(どうざ)の警蹕(けいひつ)を合図に全町の灯火がひとつ残らずいっせいにバッタリと消される...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...ひとつ残らず焼けてしまい...
久生十蘭 「海豹島」
...それから聞こう」わが家の洋館は、明治の中頃、先代が、滞日中のフランス人の建築家に依嘱してつくったもので、どの部屋も、アンピール式の椅子や、丈の低いしゃれた家具で統一され、それなりに、古雅な美しさを保っていたものだったが、それらは、ひとつ残らず、ピカピカ光る、アメリカン・タイプのチューブの家具にかえられてしまった...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...それらの花がひとつ残らず何処かに立ち去ってしまった今は...
堀辰雄 「美しい村」
...余程たって、何かがやがや話しながらみんなの足音が入(いり)まじって庫裏(くり)の方へ引上て行った後で、障子をあけて縁側に出て見たら、無数に赤く日に光っていたのが、ひとつ残らず、もぎとられていた...
水上滝太郎 「果樹」
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