...なおかつ雪の上にわずかに顔を出した樹の枝にすがってあらゆる奮闘をよぎなくされた...
板倉勝宣 「五色温泉スキー日記」
...しかもなおかつ私を毒殺したいと叫び私の妻になりながら――いかに醜い不具者(かたわもの)とはいえ...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...なおかつ老人が遺言状を作らないと君たちにはわかっていた...
三上於菟吉訳 大久保ゆう改訳 「自転車乗りの影」
...なおかつ社会を抜け出で...
戸坂潤 「読書法」
...なおかつ納得がゆかず...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...そこで俗界のいわゆる安固と名利もこれを犠牲にしてまでもなおかつ内部の自由と安固とを得んとする...
新渡戸稲造 「自由の真髄」
...なおかつよその男の夢を見るのだ...
林芙美子 「恋愛の微醺」
...そしてまた、この同一性を正当化するために、継続した存在によって前後の知覚を結合する傾向も与え、なおかつ、前後の知覚の中断した現れが必然的に含むであろう矛盾を、回避する傾向も与えるのである...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...なおかつこれをかえりみず...
福沢諭吉 「学者安心論」
...なおかつ三十の星霜を費し...
福沢諭吉 「政事と教育と分離すべし」
...これだけの芸境に達していてなおかつ...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...猶且(なおかつ)慊(あきた)らず...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...なおかつ硬化したその大根の上部をも切取って...
三澤勝衛 「自力更生より自然力更生へ」
...なおかつ自然がこれに課したる序列を堅く守る...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...旧六波羅探題のあとに住んで、みずから称(とな)えてそこを、六波羅奉行となし、また、わが名による“御教書(みぎょうしょ)”を発して、はやくも独自な政治的手腕のはしを見せていたが、なおかつ、東国の空をのぞんでは、「さて、どうしているぞ? どうなることか?」と、早馬のひづめに、胸の明け暮れ、かきたてられていたことにちがいない...
吉川英治 「私本太平記」
...――あの徳川家康においてすらなおかつそうであったところを見ても...
吉川英治 「新書太閤記」
...ちかごろ、宮廷のうちも、際だって、華美になり、むかしは、天皇のほかには着なかったような物を、一介(いっかい)の史生(ししょう)や蔵人も着かざったり、采女(うねめ)や女房たちが、女御更衣にも負けずに艶(えん)を競ったり、従って、風紀もみだれ、なおかつ、廟議や政務にいたっては、てんで、怠り放題な有様である...
吉川英治 「平の将門」
...「お綱ッ、情(じょう)の強(こわ)いのも程にしろよ」「わたしには、弦之丞様という、心に誓った人があるというのに、まだそんなくどいことを」「おう、恋仇があるときけば、なおさら俺の根性として、てめえを弦之丞のものにさせねえのだ」「ええ、誰が、お前なんぞに! ……」腕に腕を絡(から)んでもぎ離そうとしたけれど、孫兵衛の膝はビクともせずに折り敷いて、なおかつ、女の足掻(あが)き悶(もだ)える態(さま)を心の奥で陶酔(とうすい)している...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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