...赤坊の泣くのに困(こう)じ果てて妻はぽつりと淋しそうに玉蜀黍殻(とうきびがら)の雪囲いの影に立っていた...
有島武郎 「カインの末裔」
...玉蜀黍殻(とうきびがら)といたどりの茎で囲いをした二間半四方ほどの小屋が...
有島武郎 「カインの末裔」
...一面の唐黍(とうきび)畠だ...
梅崎春生 「幻化」
...旱魃で水をほしがっているあの画面の植物は自分にはどうも黍(きび)か唐黍(とうきび)かとしか思われなかった...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...甘蔗(さとうきび)のひと節を短刀のごとく握り持ってその切っ先からかじりついてかみしめると少し青臭い甘い汁(しる)が舌にあふれた...
寺田寅彦 「自由画稿」
...むしろの上に鶏卵や牡丹餅(ぼたもち)や虎杖(いたどり)やさとうきび等を並べた農婦の売店などの中に交じって蓄音機屋の店がおのずからな異彩を放っていた...
寺田寅彦 「蓄音機」
...甘蔗(さとうきび)など標本的に試作(しさく)した...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...ただ豆畑や唐黍畑(とうきびばたけ)だけは猛烈に繁茂していた...
堀辰雄 「菜穂子」
...其処(そこ)がすっかり唐黍畑(とうきびばたけ)になっているのを認めたりしながら...
堀辰雄 「楡の家」
...足柄(あしがら)の唐黍(とうきび)餅...
正岡子規 「墨汁一滴」
...柔らかい唐黍(とうきび)のような紅毛が...
室生犀星 「後の日の童子」
...ああ黄金(きん)のほそいいとにひかつて秋のこころが ふりそそぎますさとうきびの一片をかじるきたない子が築地(ついぢ)からひよつくりとびだすのもうつくしい...
八木重吉 「秋の瞳」
...それを開墾して砂糖黍(さとうきび)などを栽(う)えさせ...
柳田国男 「海上の道」
...それを唐黍(とうきび)米というが...
柳田國男 「食料名彙」
...炉端で清江が畑から切って来た砂糖黍(さとうきび)の茎を叩いている...
横光利一 「夜の靴」
...唐黍(とうきび)のからからとうごく間に...
吉川英治 「大谷刑部」
...――そのうちに砂糖黍(さとうきび)を舶載(はくさい)して...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかつめらしく恋の密輸入物をトランクにしまうと一寝入りするつもりで車窓からボスニヤ平原に咲く砂糖黍(さとうきび)の花の香(にお)いを嗅いでいるうちに...
吉行エイスケ 「孟買挿話」
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