...人間愛の燈火をつつましやかにともしてくれる...
芥川龍之介 「葱」
...岡はさすがにつつましやかに心痛の色を顔に現わして椅子(いす)の背に手をかけたまま立っていた...
有島武郎 「或る女」
...――彼女はつつましやかに制服を身につけ...
犬田卯 「橋の上」
...吐く息さえもつつましやかに...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...極めてつつましやかに紳士的な態度をとっていた漱石氏の模様が昨日の出来事の如くはっきりと眼に残っている...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...つつましやかにモナ・リザは歩み去れりモナ・リザは歩み去れり深く被はれたる煤色(すすいろ)の仮漆(エルニ)こそはれやかに解かれたれながく画堂の壁に閉ぢられたる額ぶちこそは除かれたれ敬虔の涙をたたへて画布(トワアル)にむかひたる迷ひふかき裏切者の画家こそはかなしけれああ...
高村光太郎 「ヒウザン会とパンの会」
...お出かけになってから訪ねて来た人は誓って一人もございません」局外者のように皆のうしろに立って舗道の下をつつましやかに眺めていた師父ブラウンが謙遜げにこういい出した...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「見えざる人」
...つつましやかに味いながら...
豊島与志雄 「沼のほとり」
...同じ場所につつましやかに満足して暮らすことが...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 荒木光二郎訳 「フランダースの犬」
...つつましやかに安楽に団欒(だんらん)しつつ余生を送ってる老士官の住居にふさわしいものだった...
中勘助 「結婚」
...姉は黙ってつつましやかに笑ひ...
原民喜 「絵にそへて」
...つつましやかに話して...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...宮はつつましやかにお返事をお書きになって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それをつつましやかにそして惜し気もなく使用したことに...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それは今の今までつつましやかにうつむいていた伊奈子が大きな眼で上眼(うわめ)づかいに私を見て...
夢野久作 「鉄鎚」
...一方がつつましやかに落付いているのに反して...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...つつましやかに足曲げて...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...甲斐甲斐しくも穿きたるは希臘(ギリシヤ)風の草鞋(サンダル)……さて桔梗色や淡紅(とき)色の明るき衣(ころも)霧よりも軽(かろ)く膝を越えてつつましやかに靡けば...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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