...霜枯れのしずかなこのごろ...
伊藤左千夫 「河口湖」
...しずかにしておいてはくれないんだろう」「それはむりだよ...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...液はしずかに、リンゲル氏液の中にとけていった...
海野十三 「生きている腸」
...巨体はしずかに浮きあがっていく...
海野十三 「海底大陸」
...しみじみとそうした感慨を深くした……いつか樋をつたう春雨の音がしずかに聴えていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...そうなるとしずかな水面のどの深いところで彼が魚のように泳ぎ進んでいるのか...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...しずかな、いいまちです...
太宰治 「雌に就いて」
...さて九月も既に半ばに近づいた或る日のこと、ゆうがたから降り出した秋雨が夜になっても降り止まず、しと/\/\と、しずかに、土に滲(し)み入るように降りしきって、軒端をつたう雫(しずく)のおとがそゞろに人を物思いに誘うと云う晩、織部正は宵(よい)の口から夫人の部屋に閉じ籠り、侍女のお春に酌をさせて夫婦仲むつまじく盃(さかずき)の遣(や)り取りをしていた...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...蘭燈(ぼんぼり)にてらされて、長い廊下を歩いていって、静(しずか)な、清らかな美しいお顔を見ると、全くこの世の人ではない気がしたといわれた...
長谷川時雨 「九条武子」
...(たとえ、どんなひどい嘘をついても!)森川夫人は、微笑しながら、「あなたは、ほんとうにあの娘を愛してらっしゃいますか」「あなたは、何んということをおたずねになるのです」「そんなら、……もし、そうなら、あなたは、あの娘を死なせるようなことはなさらないでしょうね」「いのちがなんでしょう! ……夫人(おく)さん、あなたは愛情というものを、たいへん低く見ていらっしゃる」森川夫人は、しずかに、いった...
久生十蘭 「キャラコさん」
...「静御前(しずかごぜん)」がくる...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...五百は徐(しずか)に詫言(わびごと)を言う...
森鴎外 「渋江抽斎」
...プルタルコスはものしずかな・典雅な社会にもかなうような・プラトン流の意見をもっている...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...しずかに泳(およ)ぎまわっています...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...彼女は手に力を籠(こ)めながら静(しずか)に杉戸を開いてみた...
横光利一 「日輪」
...其疾如風(そのはやきことかぜのごとし)其徐如林(そのしずかなることはやしのごとし)侵掠如火(おかしさるやひのごとし)不動如山(うごかざることやまのごとし)うごかざること山のごとし――その文字のとおりに...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかしその青い面色に一抹(まつ)の凄気(せいき)は見せたものの、依然、言葉はしずかに...
吉川英治 「新・水滸伝」
...客の待つ室(へや)の障子(しょうじ)をしずかに開けた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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