...間もなく蔭口(かげぐち)の的になった...
芥川龍之介 「或敵打の話」
...それ以後失意となればなるほど世間の影口(かげぐち)に対する弁明即ち愚痴がいよいよ多くなった...
内田魯庵 「斎藤緑雨」
...かえって美妙を尋ねる時は最中(もなか)の一と折も持って行かないと御機嫌(ごきげん)が悪いというような影口(かげぐち)があった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...時々は「猫になりたい」という影口(かげぐち)もあった...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...故(ゆえ)に様子を知らない新参の入門者は二人の間を疑う由(よし)もなかったというまた鵙屋の奉公人共はあれでこいさんはどんな顔をして佐助どんを口説(くど)くのだろうこっそり立ち聴(ぎ)きしてやりたいと蔭口(かげぐち)を云ったというなぜ春琴は佐助を待つことかくのごとくであったか...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...彼女の家庭では彼女一人が大名のような生活をし佐助以下の召使は極度の節約を強いられるため爪に火を燈(とも)すようにして暮らしたその日その日の飯(めし)の減り方まで多いの少いのと云うので食事も十分には摂(と)れなかったくらいであった奉公人は蔭口(かげぐち)をきいて...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...この頃の蔭口(かげぐち)...
夏目漱石 「薤露行」
...あれが頭(かしら)の子(こ)でなくばと鳶人足(とびにんそく)が女房(にようぼう)の蔭口(かげぐち)に聞(きこ)えぬ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...我(わ)が蔭口(かげぐち)を露(つゆ)ばかりもいふ者(もの)ありと聞(き)けば...
樋口一葉 「たけくらべ」
...少(すこ)し容貌(きりよう)の自慢(じまん)かと思(おも)へば小面(こづら)が憎(に)くいと蔭口(かげぐち)いふ朋輩(はうばい)もありけれど...
樋口一葉 「にごりえ」
...ぼそぼそと蔭口(かげぐち)をきいただけで...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...内所の後評(かげぐち)...
広津柳浪 「今戸心中」
...後家という者はいつの世でも兎角人に影口(かげぐち)言れ勝の...
二葉亭四迷 「平凡」
...未亡人(びぼうじん)の操行(さうかう)に關(くわん)して誰一人(たれひとり)陰口(かげぐち)を利(き)く者(もの)もなかつた...
水野仙子 「悔」
...まじめ顔をされてはかえってお価値(ねうち)も下がるだろうが」などと陰口(かげぐち)をしながら...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...宮家の心細い御経済も緩和されると思うが」こんなお陰口(かげぐち)も言いながら似合わしい第二の夫人のお取り持ちをしようとする人たちも相当多いのであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...まして有象無象(うぞうむぞう)のかげぐちなぞが...
室生犀星 「花桐」
...世間の噂やかげぐちなどに乗せられる人ではない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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