...木村に似た容貌(ようぼう)がおぼろに浮かんで来るだけで...
有島武郎 「或る女」
...ほのかな提灯の灯とともに近づくおぼろにうつくしい婦(おんな)の姿に対した...
泉鏡花 「遺稿」
...おぼろに怪しい一片の雲にすぎぬあなたの毒口の上を蔽うてやまぬからだと弁解しながらね...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...おぼろにそこに眺めたのではなかったか...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...おぼろにしか覚えておりませんが...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「青玉の十字架」
...最早(もう)書く文字がおぼろになった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...他のほの暗い人影がおぼろに認められる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...或小説家逗子(ずし)の海岸にて男女の相逢ふさまを描くや明月海の彼方(かなた)より浮び出で絵之島(えのしま)おぼろにかすみ渡りてなどと美しき景色をあしらひしに...
永井荷風 「小説作法」
...此夕月おぼろにかすみ暖気春の如し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...それに引換へて父の世より住古(すみふる)せし我家の内の薄暗く書斎の青燈(せいとう)影もおぼろに床(とこ)の花を照すさま何事にもかへがたく覚初(おぼえそ)めたるがためのみ...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...むしろ不平であった事なぞがおぼろに思い返される...
永井荷風 「霊廟」
...いつを畢りと豫ねてえ定むべくもあらずと葉がくりになる南瓜のおぼろには目にみえぬごとおくが知らずも辰巳のかぜふきて雨のふりつゞきければ鬼怒川いたくまさりて濁れる...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...おぼろに感じてゐたことが...
中原中也 「海の詩」
......
野口雨情 「おさんだいしよさま」
...子供の時に讀んだ古詩をおぼろに思出した...
正宗白鳥 「心の故郷」
...すべてほの暗いおぼろに包まれていた...
山本周五郎 「屏風はたたまれた」
...おぼろに彼らの頭の中にも何かの影を与えているのだろうと想像された...
横光利一 「旅愁」
...おぼろに常夜燈がまたたいていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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