...朧(おぼろ)げながら眼の前へ浮んで来る...
芥川龍之介 「世之助の話」
...帰ろうと思っている葉子の下心(したごころ)をおぼろげながら見て取って...
有島武郎 「或る女」
...小路はおぼろ気に照らし出されていた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...おぼろげに博士の考えが分って来た...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...たぶんはかつて読んだり耳にした事のおぼろげな記憶をたどって...
岡倉由三郎 「茶の本」
...おぼろげに彼女の顔を照らしているだけだったが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...其れに依り傍(そ)うて幻(おぼろ)げに形づくりたる者...
綱島梁川 「予が見神の実験」
...確定と偶然との相争うヒットの遊戯が何ゆえに人間の心をこれほどまでに強く引きつけるかという理由をおぼろげながら感得することができるような気がした...
寺田寅彦 「野球時代」
...そのことをおぼろに感じながら...
豊島与志雄 「山上湖」
...お前はけっして年老いることがないのだ!……」おぼろな月が雲間から出て...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...形を成さない一塊(ひとかたまり)となって朧気(おぼろげ)に見えた...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...どうかした拍子でふいと自然の好い賜(たまもの)に触れる事があってもはっきり覚めている己の目はその朧気(おぼろげ)な幸(さいわい)を明るみへ引出して...
ホフマンスタアル Hugo von Hofmannsthal 森鴎外訳 「痴人と死と」
...その親の心もちもおぼろげながら解るやうな気がした...
室生犀星 「故郷を辞す」
...陣々の篝火(かがりび)すらおぼろなほどだったから...
吉川英治 「三国志」
...白々とした花だの春の朧(おぼろ)が思い出されるのみだった...
吉川英治 「私本太平記」
...寂土の朧(おぼろ)に浸(ひた)り入った態(てい)で説くのであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...朧気(おぼろげ)ながら想像することが出来てきた...
蘭郁二郎 「自殺」
...事によると弾正の面影をおぼろに記憶していたかもしれない...
和辻哲郎 「埋もれた日本」
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