...耳をそばだてると、遠くで鳥のさえずりが聞こえた...
...静かに立って耳をそばだてるとかすかに音が聞こえる...
有島武郎 「フランセスの顔」
...座敷の話に耳をそばだてる...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...耳をそばだてると...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...でもそれからは琴のしらべと唄のこえとに一としお耳をそばだてるようになって...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...たとえば探偵(たんてい)が容疑犯罪者と話しているおりから隣室から土人の女の歌が聞こえて来るのに気がついて耳をそばだてる...
寺田寅彦 「映画芸術」
...隣りのテーブルの人たちが耳をそばだてるほどにかがみこむ...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...耳をそばだてるような...
火野葦平 「花と龍」
...耳をそばだてると――なぜそうしたのか...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...車の音が聞こえるぞ!」やがて一人の男が斯ういつて耳をそばだてると酒場は忽ち水を打つたやうに寂として...
牧野信一 「山峡の村にて」
...私の歌の絶え間にそつと耳をそばだてると...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...一投足の物音も開き逃すまいと耳をそばだてるばかりで...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...耳をそばだてると...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...なるべく耳をそばだてるやうなつもりで寝床へ入りました...
牧野信一 「眼醒時計の憤慨」
...「お、お、多少、存じ寄っている奴で――あやつ、本体を、御存知あるまいが、なかなか油断のならぬ食わせもの――」「まあ、そこまでは、存じませぬが――一たい食わせものと申して、どのような――」お初が、訊き返すと、平馬は、薄手の唇を、ビリビリと憤(おこ)りっぽく痙攣(けいれん)させて、「あやつは、ばけ物でござる――何を考え、何を致そうとしているか、是非に見抜いてやらねばならぬ奴じゃ」一五「お初どのとやら、そなたは、一時、あの河原者の容色に、迷われたとかいうことだが、女子(おなご)の身で、あやつのような化性(けしょう)のものに近づけば、いずれ、魂を蕩(とろか)され、生き血を吸われ、碌(ろく)なことはあろうはずがない――」と、平馬は、憎々しげに、雪之丞を罵倒(ばとう)しつづけて、「現に、あやつのお蔭で、御大家の、秘蔵の息女まで、とんだ身の上になられ、いやもう、大騒動が出来(しゅったい)いたしたる位だ」「え? あの雪之丞のために、いず方さまの御息女が、そんな目にお逢いなされたと申すのでござりますか?」お初は、耳をそばだてる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ふしぎな耳をそばだてるのみです...
吉川英治 「江戸三国志」
...父は葡萄畑に立つては幾度か馬車の喇叭に耳をそばだてる...
吉田絃二郎 「八月の星座」
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