...鳥の影一つ見えない大灘(おおなだ)を漂うて...
泉鏡花 「印度更紗」
...湯気の漂う浴槽から若い女の真っ白い顔がパーマの髪を乱して黒い目を見開いたっきり...
大坪砂男 「浴槽」
...今日は大分氣持がいゝわ」さう答へた顏には微かな微笑さへ漂うてゐた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...その源吉の眼に青い月の光の漂うた海岸の松原が見え麦の穂が見え緑の桑の葉が見え別荘の土手が見え土手の上の薔薇の花が見えた...
田中貢太郎 「海異志」
...漂うような満身の汗を...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...雲の漂うがごとく...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...材木や家財道具までも濁流の中に漂うて流れて行くうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...卑劣な空気が漂うているところに多少の特色がある...
中里介山 「大菩薩峠」
...静かに地上を漂うが如く忍んで行く...
中里介山 「大菩薩峠」
...泰西の潮流に漂うて...
夏目漱石 「写生文」
...ある角を曲って二三歩行ったかと思うと僕の視線は何気なく四五米先の二階の窓の方に漂う...
原民喜 「悪夢」
...というよりも漂うているのであったから...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...ちょっぴり悲哀が漂う...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...後で海面に漂う人を拾い上げる余地を見て...
牧逸馬 「運命のSOS」
...金襴の衣が薄紫に漂うてゐた...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...梅が香の匂いがどの室で焚かれているのか、ゆるく、遠く漂うて来た...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...漂うひとときの哀愁を掃き集めているようで彼の眼に沁みて来た...
横光利一 「旅愁」
...ほのかな暁闇の漂う中に...
吉川英治 「剣難女難」
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