...わが商人の小利小欲に汲々として大利を忘れ...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...有体に言うと今の文人の多くは各々蝸牛の殻を守るに汲々として互いに相褒め合ったり罵り合ったりして聊かの小問題を一大事として鎬を削ってる...
内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
...汲々として藩閥の維持に努めた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あなたも鉱毒事件のような一局部の問題に汲々としている場合でない」と島田が忠告したのに対し...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...ひたすらニュースと末梢的センセーショナリズムとの追求に汲々としていることは誰しも認めていることだが...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...あれこれとかき集めるのに汲々としていると云ったような弱々しさである...
戸坂潤 「読書法」
...右顧左眄して順応に汲々としている或る種の文化論者の類いである...
戸坂潤 「日本文化の特殊性」
...科学の駆逐に汲々としている...
戸坂潤 「ひと吾を公式主義者と呼ぶ」
...ただ出来るだけ多くの快楽を得ることのみに汲々としています...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...機嫌を取るに汲々としていた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...たゞ專門の學に汲々として居るばかりで...
新渡戸稻造 「教育の目的」
...不正の利慾を貪るに汲々として寧日なき有様であった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...そして小胆な彼は汲々として働いてゐるのだ...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...大砲を造ることに汲々として砲弾の用意を忘れたものに等しい...
牧野富太郎 「植物記」
...同輩たちは彼の寵を獲(え)ることに汲々としていたし...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...汲々として紅塵(こうぢん)埃裏(あいり)に没頭し...
山路愛山 「英雄論」
...その部下と共に良民を苦しめて不義の栄華を楽しむために汲々としておる者で...
夢野久作 「暗黒公使」
...守れ」の一方でただ要害をきびしくするに汲々としていたが...
吉川英治 「三国志」
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