...只でさえ歩きにくい路の所々に残雪がかかって径を閉鎖していた為に...
石川欣一 「可愛い山」
...白老からの長い道中、人家は一軒も見ず、人間の証跡とては、所々に粗末な、荒廃し果てた祠がある丈であった...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...所々降つて来さうな秋の星...
石川啄木 「天鵞絨」
...所々にブクブクと真黒な粘液(ねんえき)を噴(ふ)きだし...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...狼狽してすぐさま要所々々の警戒についたのである...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...走路は拝殿のわきのかなりな池の周囲に造られたが、所々に笹を立て、それを荒縄でつないだだけで、方々から集つた馬は大抵胴がいやに太くて足の短い、腹や胸のあたりにぼさぼさした毛の生えた代物だつたが、わきに外(そ)れやうとする馬は周囲を黒山のやうに囲んだ見物人達の喚声と棒切れとで又内側へと追ひこまれ、池の中にはまりこみ、泥まみれになつて走つたりした...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...なるほど所々に棟瓦の揺り落されたのが指摘された...
寺田寅彦 「静岡地震被害見学記」
...所々に草むらがあるだけの不毛の地だ...
豊島与志雄 「憑きもの」
...山腹をうねつて行くと所々山のはざまを漏れて日光が路傍の草村へきら/\と射してることがある...
長塚節 「旅の日記」
...灸所々々の飛行場に...
中谷宇吉郎 「霧を消す話」
...大きな建物が所々に黒く立っている...
夏目漱石 「三四郎」
...下手(へた)な個所々々を悉く塗り更(か)へて...
夏目漱石 「それから」
...所々に置いてある安物の椅子テーブル...
三好十郎 「疵だらけのお秋(四幕)」
...草書で仮名混じりの文体の日記がその所々には混ぜられてある...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それから宗家の留守居役同道で所々へ礼廻に往つた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...石垣に沿うて、露に濡(ぬ)れた、老緑(ろうりょく)の広葉を茂らせている八角全盛(やつで)が、所々に白い茎を、枝のある燭台(しょくだい)のように抽(ぬ)き出して、白い花を咲かせている上に、薄曇の空から日光が少し漏れて、雀(すずめ)が二三羽鳴きながら飛び交わしている...
森鴎外 「かのように」
...そのほか所々に召連れられて御囃子...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...なほ捨てず弓も引けぬに犬追物(いぬおふもの)落馬は矢数(やかず)に勝(まさ)りたり誰を師匠となけれどもあまねく流行る小笠懸(こがさが)け在々所々の歌...
吉川英治 「私本太平記」
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