...余さずこの古革鞄に納めた...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...巻頭の辞から広告社告の末まで一字も余さず読んで行く中に...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...すると、死骸は邸内のどこかに隠してなければならぬ筈なのに、あのときあとに残った、麹町の司法主任が、屋内屋外、一寸角も余さず、検べ廻ったにもかかわらず、死骸は勿論、何の手掛りらしいものさえ、発見出来なかったのは、実に不思議といわねばならぬ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...爪楊子(つまようじ)のはてまで一物も余さず奪い...
太宰治 「新釈諸国噺」
...さしもに広き梅田停車場(ステーション)もほとんど立錐(りっすい)の地を余さず...
福田英子 「妾の半生涯」
...大引けと刻々の仲之丁の情景を活写して余さず...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...何処にもはしょらずテーマの要求する時間の一杯を余さず注ぎこんでいるからこそで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...やがて出されたものは余さず喰(た)べるようになった...
山本周五郎 「菊千代抄」
...三日以内に一粒も余さず城中お蔵へ納(おさ)むべし...
山本周五郎 「城を守る者」
...一物も余さず分析しつくして見せる……という確信を持ってかかっているのだから...
夢野久作 「実さんの精神分析」
...一人も余さず君側から掃蕩してしまえ」と...
吉川英治 「三国志」
...山と積まれた訴訟も夕方までには一件も余さず片づけてしまった...
吉川英治 「三国志」
...ほとんどひとりも余さず捕斬(ほざん)された...
吉川英治 「新書太閤記」
...いまは一国余さず...
吉川英治 「新書太閤記」
...間際まで散りやまぬ落葉をも余さず掃(は)いているような気持であった...
吉川英治 「日本名婦伝」
...一匹も余さず打ちのめすのだ」いっている間に...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ばたばたっと一人も余さず...
吉川英治 「無宿人国記」
...さいごの息づかいらしいのが窺われたとき、ぼくたち兄妹は、ひとり余さず、母の周囲に顔をあつめて、涅槃(ねはん)の母に、からだじゅうの慟哭をしぼった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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