...世が世ならば、倉地は小さな汽船の事務長なんぞをしている男ではない...
有島武郎 「或る女」
...世が世なら、いや、敗軍の将、愚痴(ぐち)は申さぬ...
太宰治 「失敗園」
...世が世ならお前は青砥の上にも立つべき器量人だ...
太宰治 「新釈諸国噺」
...世が世ならばこういう空位を擁するお方としてではなく...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...「ご隠居さま……どうぞ……粗茶などおめしあがりくださいまして……」「ああああ……世が世ならば竜胆寺妥女の妻! 家老石藤左近将監風情の軒さきに...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...世が世ならばもういまじぶんはひとかどのおんたいしょうでござりますけれども...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...世が世ならば猿面かんじゃめをあべこべに追いつめて腹をきらせてくれようものを...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...「世が世なら――もう...
直木三十五 「南国太平記」
...「世が世ならばこんなことはしたくはないが...
中里介山 「大菩薩峠」
...世が世ならば、私共なんぞは、お傍へも寄ることはできませんのに、こんなところへお越し下さいまして、ほんとうに勿体(もったい)ないことでございます」「いや、お吉、お前には何から何まで世話になるばかりで本当に済まぬ、主膳もこのまま朽ち果てるとも限るまいから、何かまた世に出づる時があらば、この恩報じは致すつもりだからな、又六にも悪くなくいっておいてくれよ」「殿様、恐れ多いことでございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...世が世ならば、土下座をしても、対談はかなうまじきはずなのを、無雑作(むぞうさ)にその室に通されて、向き直って椅子に腰をかけさせられて、七兵衛がこそばゆい心地...
中里介山 「大菩薩峠」
...世が世ならば、この船を自分の思うままに大手を振って、いずれのところへでも廻航するが、今は世を忍ぶ身の上で、公然たる通航の自由を持っていない...
中里介山 「大菩薩峠」
...世が世ならば、我々は、そばへも寄れない方ですよ...
林芙美子 「浮雲」
...もしも世が世ならばですね...
深瀬基寛 「悦しき知識」
...世が世なら、このメムバーを引き連れて、バアかキャバレーへでも行くところだが、貧もあり年もあり、「今夜はありがたう/\」と好々爺は、先きにタクシー御帰館...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...世が世なら僕は盗棒を働いてゞも……」堀田は兵野の肩に凭りかゝつて...
牧野信一 「露路の友」
...ぞっとします」「いやか」「世が世なら...
吉川英治 「私本太平記」
...世が世なら竹屋三位卿(さんみきょう)も...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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