...巡査が犯人を逮捕に行くとなると、向うが抵抗するかも知れないと云ふ不安があるでせうが、軍艦の中ではそんな事は、万々ありません...
芥川龍之介 「猿」
...万々一のことがあってはと...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...依(よっ)てかの家を彩牋堂とこじつけ候へども元より文藻(ぶんそう)に乏しき拙者(せっしゃ)の出鱈目(でたらめ)何か好(よ)き名も御座候はゞ御示教願はしく万々(ばんばん)面叙(めんじょ)を期し申候ヨウさんは金持であるが成金ではない...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...万々一非常に不幸な場合になったとしても近世文明の精神と世界国際の関係とは独り一国をして斯の如き悲境に立至らしめる事はあるまいと云うような気がした...
永井荷風 「花火」
...万々一死相が本当にしても人間の面(つら)は暦じゃねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...老中が家臣に毒を盛られてはならぬな」「ハッ」「万々一にも左様の不心得者があれば...
野村胡堂 「礫心中」
...しかし万々のまちがいもなく今に知事の口にありつかれようとしている人間にとっては...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「鼻」
...万々心配なきが如くなれども...
福沢諭吉 「学者安心論」
...倅音取柚太こと度々ながら貴殿の御迷惑を病し汗顔至極の至りに御座候も来る××日夕刻同伴の上参上致しその節万々申し上ぐべく候故...
牧野信一 「月あかり」
...銃丸が飛んで来てバチバチと物に当った音)……万々が一...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...しかし万々心配は有りませんが?吉村 わしはよいが...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...誠に万々一之御備に漢科之者御供被仰付候儀と奉存候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...又上陸致候而も万々一急速之御用御坐候共...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...いわゆる万々一の場合...
柳田国男 「木綿以前の事」
...万々、この方にはお心遣(づか)いなく、どうかこの大事の時をお乗りこえ遊ばしますように、それのみを、御老母さまも念じ上げていらっしゃいます...
吉川英治 「新書太閤記」
...万々、この勝家の不覚にほかならぬ...
吉川英治 「新書太閤記」
...なお、出来るだけ味方を狩りあつめ、夜明け前に、大岳へゆく途中の小猿沢(こざるさわ)の谷川橋で――われわれを待ち合す手筈になっているから、万々、これで遺漏(いろう)はあるまいと、宍戸梅軒(ししどばいけん)はいうのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...どうだ、乗るか」「吾々は、藩に籍のある体、そうままには」「そこは、万々、心得ての上だ...
吉川英治 「無宿人国記」
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