...一廉(ひとかど)の儲(もうけ)があった位だということでした...
淡島寒月 「江戸か東京か」
...しかし幽霊でも己(おれ)が一廉(いっかど)の世話をしてやったから...
泉鏡花 「活人形」
...困る事には此役に立たない商業学校の卒業生が学校を出れば一廉(ひとかど)な商業家になつた気でゐる...
内田魯庵 「青年実業家」
...行く末は一廉(ひとかど)の富本の名人になろうと評判された位でありました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...洋行迄(まで)して一廉(ひとかど)の肩書を持って帰朝すれば...
谷崎潤一郎 「細雪」
...日頃一廉(ひとかど)の人物と見ているところから...
中里介山 「大菩薩峠」
...一廉(ひとかど)の注意人物でない限りはありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...一廉(ひとかど)の人物のように言い囃(はや)された能登守...
中里介山 「大菩薩峠」
...伯父は一廉(ひとかど)の見識をもっていた...
中谷宇吉郎 「由布院行」
...一方においては低いながらも朝廷の官職を有する一廉の公卿であるかと思うと...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...草鞋(わらじ)を履(は)いてなりとも一廉(かど)の働(はたら)きをして...
樋口一葉 「われから」
...一廉の大将面しておさまっているふうだから...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...世間は俺を一廉の働手にしてしまつた...
平出修 「瘢痕」
...下村などと一廉の文科生振つた口を利くやうになつたが...
牧野信一 「文學的自叙傳」
...個性を考へるといふことは丁とか戊とかに匹敵する悪業のやうに狎らされてゐたので「君の意見はそれはそれとして一廉であり……」とか「意志の自由に於いて……」とか「誰が誰を掣肘出来るものか……」などといふ言葉が悉く絶大なる美しい響きを持つて感ぜられた...
牧野信一 「文学的自叙伝」
...一廉(ひとかど)労働者の先覚顔して...
南方熊楠 「十二支考」
...兎(と)に角(かく)一廉(ひとかど)の大工場になった...
森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
...一廉(ひとかど)の物を拵えた気になっているが好い...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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