...――私は昔自分の作つた歌をゆくりなく旅先で聴く様な気がした...
石川啄木 「氷屋の旗」
...そこに私はゆくりなく慎ましい美を発見するのでございます...
上村松園 「幼き頃の想い出」
...予備門(今の高等学校)の生徒控室でゆくりなくもこの五分刈の巨頭君に邂(で)逅(あ)って...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...ゆくりなく初日から示したのであった...
江見水蔭 「丹那山の怪」
...今日ゆくりなくも見たあの墓は...
橘外男 「逗子物語」
...その晩は又ゆくりなくも十畳の座敷に妙子と二人...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そうして、ゆくりなく、この渡頭に立って見ると、たずねるところのマドロスが、遠眼鏡の視野の中に完全に落ち来ったものですから、いずれにしても、この向う岸を距(へだた)ること程遠からぬ地点に潜在しているのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...ゆくりなくまたそれを思い出させられたのは...
夏目漱石 「こころ」
...私は今年の四月ゆくりなくも再び訪ねる機會を得たのは嬉しいことであつた...
濱田耕作 「温泉雜記」
...ゆくりなく君を奪はれ天地も恨めしけれど山籠りする寛先生の亡くなられたのは全く偶然の結果であつて罪は旅行にある...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...ゆくりなくもあの切れ長の漆黒の眼差がシットリと濡れて笑っていた...
正岡容 「寄席」
......
三好達治 「艸千里」
......
三好達治 「世はさながらに」
...さてゆくりなく、君が御声(みこえ)5890鳴神(なるかみ)の鳴るごと、渡津海のとよむごと、力強く鳴り響けば、人皆奈何(いか)にせましと思ひ惑ひ、戦の場(にわ)にある猛き軍人の群も散(あら)け、入り乱れたる人等の中に立てる英雄(すぐれびと)も慄ふ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ゆくりなくも二(ふ)た昔以前のお千世殿のお話を思い出しましたので...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ゆくりなく、足利家とは縁も深い母子(おやこ)法師の危機を途上(みち)で知って、その急を、彼女が一色党の人々へ報(し)らせたなども、輪廻(りんね)、眼に見えぬ何かに人は皆うごかされていると説く仏者(ぶっしゃ)の言もあながちわらうべきではない...
吉川英治 「私本太平記」
...ゆくりなくもきあわせた巽小文治(たつみこぶんじ)が...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ゆくりなくこの人を見て...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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