...まだその時分、宿を取っちゃあいなかったんでございます、居酒屋、といった処で、豆腐も駄菓子も突(つッ)くるみに売っている、天井に釣(つる)した蕃椒(とうがらし)の方が、燈(ひ)よりは真赤(まっか)に目に立つてッた、皺(しな)びた店で、榾(ほだ)同然の鰊(にしん)に、山家片鄙(へんぴ)はお極(きま)りの石斑魚(いわな)の煮浸(にびたし)、衣川(ころもがわ)で噛(くい)しばった武蔵坊弁慶の奥歯のようなやつをせせりながら、店前(みせさき)で、やた一きめていた処でございましてね...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...「お前はまだ死んじゃいけなかったんだ」彼は口に出して言った...
梅崎春生 「狂い凧」
...食えるところがまだあった...
太宰治 「花燭」
...今から三年ばかり前……まだ身体が丈夫で...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...僕はまだ味わったことがない...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...「私もまだサツマ辭書の初版といふのは見てゐないので...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...或る朝、村の家々の、屋根が薔薇色になり初(そ)める頃、父ジョゼフが目覚める迄に、父の仕事を仕上げやらうと思ひ立ち、まだ誰も、起きる者とてなかつたが、彼は寝床を抜け出した...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集≪学校時代の詩≫」
...事業はいまだに拡められていない...
蜷川新 「天皇」
...それから――」「まだあるのか」「番頭の喜八...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...喉笛にはまだ匕首を突立てたまゝ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まだ御飯が――」うろ/\するお静へ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...北海道にはまだ何万町歩と云う荒地があると書いてある...
林芙美子 「新版 放浪記」
...いまだ同志の人に語らざるも...
福田英子 「妾の半生涯」
...まだ広く行われている...
柳田国男 「年中行事覚書」
...治助はまだ怒りのおさまらない顔つきで...
山本周五郎 「季節のない街」
...まだこの秋にならなければ...
吉川英治 「鬼」
...戌(いぬ)の刻(八時)ごろか」「まだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...牛の背の老母もまだ不安そうな顔に見えた...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??