...この船はとりもなおさず大不安を未荘に運んでくれて...
魯迅 井上紅梅訳 「阿Q正伝」
...家庭にはもちろん一組の夫婦があって、とりもなおさず、それが主人と主婦で、自由結婚だ...
魯迅 井上紅梅訳 「幸福な家庭」
...この一夜(ひとよ)はとりもなおさず...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...とりもなおさず治外法権というものを内地にこしらえて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...そうしてそれはとりもなおさず「春雨」という季題の大きな働きであることを忘れてはなりません...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...とりもなおさず双方がしっくりと合って互いに客となり主となり渾然(こんぜん)として一つの感じとなっているのであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...この王道とはとりもなおさず神の道だ...
田中貢太郎 「春心」
...その書斎はとりもなおさず先生の頭が見えた木の葉の間の高い所であった...
夏目漱石 「ケーベル先生」
...もしボンヤリした点が残っているとしたらそれはとりもなおさず...
西尾正 「墓場」
...二万五千ドルの懸賞はとりもなおさず御子息チャアリイの首にかけたもの...
牧逸馬 「チャアリイは何処にいる」
...とりもなおさず高座から流れてくる落語がいつか新内に...
正岡容 「寄席」
...とりもなおさず男の気持の裏からの告白であり...
宮本百合子 「異性の間の友情」
...何故なら、石坂氏が一プロレタリア作家牧野に最大限の階級的完全性を要求しているその感情こそ、裏をかえせば、とりもなおさず、嘗てプロレタリア作家が少なからずそれによって非難をうけて来た人間の観念化を来らしめたその感情なのであるから...
宮本百合子 「落ちたままのネジ」
...ケーテ・コルヴィッツの画業が、ナチスのものでありえなかったということは、とりもなおさず、彼女の生涯と芸術が戦争に反対し、人民の窮乏に反対する世界のすべての人々の宝であることを証明したのであった...
宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
...そのための必要な文学行動はとりもなおさずジャーナリズムを支配しようとしているのと本質においてはひとしい巨大資本による挑発とたたかって理性を防衛する行動であるという実質を理解して来ている...
宮本百合子 「五月のことば」
...とりもなおさず山治家の津留の叫びである...
山本周五郎 「思い違い物語」
...とりもなおさず自身...
吉川英治 「私本太平記」
...それはとりもなおさず私にとって『死』なのです...
蘭郁二郎 「歪んだ夢」
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