...此(こ)の中に入れて蒸気で蒸(む)してやったりします」「それにしては...
海野十三 「爬虫館事件」
...いずれ病死したものであろうが、それにしては、さしてやつれも見えず、顔も身体(からだ)も適度の肉附きだ...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...それにしてはお前の身体はあまりにひ弱すぎる...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...それにしてはあの言葉つきが全く京都人らしく聞えたのが不思議だといつたら...
高濱虚子 「俳諧師」
...それにしてはひどく乱暴な騒々しい音である...
太宰治 「不審庵」
...それにしては卑怯である...
中里介山 「大菩薩峠」
...衣服一枚拵へたいのだといふのを聞いてそれにしては余りに少ないのではないかと思つた...
長塚節 「隣室の客」
...しかしそれにしては少し変だとも考えた...
夏目漱石 「こころ」
...それにしては、渡り中間らしい男を一人給料を出して下男に使つてゐたのが腑(ふ)に落ちません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...四方屋の身寄りの者か」「いえ」「それにしては?」平次はこの女の出過ぎた態度に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その日の夕方、同家の細君と長女が、ケチンの灯用線に電気オーヴンをつなぎ、約一時間ほど電熱を使用したが、たまたま天井裏の電線は、明治三十何年かに配線したままの老朽線だったので、被覆の欠損したところから漏電して、大事にいたったものだろうという見込みだったが、それにしては、出火の時間が遅すぎる...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...女侠客として、勇名のとどろいている「ドテラ婆」、それにしては、意外にだらしのない態度である...
火野葦平 「花と龍」
...――だが、それにしては、この繪の場合は、あまりに、日數が少なすぎる...
堀辰雄 「窓」
...それにしては遠い声だわね...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...それにしては涼しい...
横光利一 「欧洲紀行」
...漠(ばく)として、(いま討つべき者としたら、徳川家康を措(お)いては、手近にはいない)と、思いつつまた一方で、(それにしては、今日よりわが殿が、天下様に成られるとはどういう意味か)を頻りに考えた...
吉川英治 「新書太閤記」
...一夜を待ちたいものだ」「それにしては...
吉川英治 「宮本武蔵」
...しかし、それにしては、黒吉は、余りに陰気な、ひねくれた少年だった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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