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高見順 「死の淵より」
...捏造(ねつぞう)する人も捏造する人なら、みんながそれ真(ま)に受けるいうのん不思議でなれしません」いいますと、「あんたはそれやから呑気(のんき)や」いいなさって、「噂立ったもんやさかい、二人はわざと学校ではものいえへんのやと、みんなそないいうてますし、それどころか、こないだの日曜に二人大軌(だいき)電車に乗って奈良い行くとこ見たいう人さいあるのんですね」いいなさるのんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...それどころか、あまりいえ過ぎるためかもしれない...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...それどころか肝心(かんじん)のわが妻(さい)さえどうしたら綾成せるかいまだに分別がつかないんだ...
夏目漱石 「行人」
...それどころか、骨細でよく脂ののつた肢體は、白く柔かくて、血の通つてゐる眞珠を見るやうな美しさでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...否それどころか、絶對者は無とそれを克服する有とを一擧に成立たしめることにおいて、又かくして成立つた共同においてのみ絶對者なのである...
波多野精一 「時と永遠」
...永遠的存在と愛とにおいても、實在的他者として又それよりして、即ち彼方より、來るものを迎へる態度は依然留まる故、否それどころか、かかる態度こそ愛の本質的性格をなす故、永遠においても將來は保存される...
波多野精一 「時と永遠」
...それどころか、笹本がいる時よりもっと朗になり、燥ぎ出したりした...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...なんのために身を飾るのだろうか? それどころか...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...それどころか、大抵の場合、目をおどろかすような大掠奪になり、意外な血を流してしまうのが常なのであって、そのため思わぬところで深い怨みを受けている...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...それどころか、全ての外部の原因を排除することは、生み出されるものごと自身を「なおさら」原因であることから排除する...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...それどころか、彼は勤務に熱愛をもっていたのである...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...それどころか、三十キロ先で同じ運命が待ち伏せている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...一体私は極めてものもちの悪いたちで、これだつて別段に特と留意して所持して来たわけでもないのですが、それどころか、そんないきさつは悉皆(すつか)り忘れてゐて、今、随筆を書かうとして、ペンを執りあげたところが、これといふ材料もなくてぼんやりと、ペン先を見詰めてゐたところ、はからずも斯んな感傷的な挿話を憶ひ出したまでゞす...
牧野信一 「私の万年筆」
...否それどころか、自分が二つなく、三つなく、四つないことを、たくさんの心・たくさんの意志・を持ち合せていてそれらをそっくり当の一人に与えられないことを、悲しんでいるのだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いやそれどころか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それどころか――朝から天候の悪かった所為(せい)もあろうが――もうなんとなく薄暗くさえなって来て...
蘭郁二郎 「自殺」
...それどころか、二つの生首は、ゴロンと転がりながらも、なお、しっかりと密着していた...
蘭郁二郎 「鉄路」
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