...さきざきまでの考えをつけておくのが旅にあればいちばん大事ですもの」木村はなおも握った手を鼻の下に置いたなり...
有島武郎 「或る女」
...さきざきお尋ね遊ばしてお上げなされまし...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...嫁入のさきざきで子供を四人も生んだけれ共みんな女なんで出る段につれて来てその子達も親のやっかいになって育て居たけれどもたえまなくわずらうので薬代で世を渡るいしゃでさえもあいそをつかして見に来ないのでとうとう死ぬにまかせる外はない...
井原西鶴 宮本百合子訳 「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」
...教育してさきざき親の助けになるようにしてあげるが」と口々にすすめたが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...ゆくさきざきで人は彼女を私の妹と思つたり...
高村光太郎 「智恵子抄」
...さきざき収入が殖える当ても少いことだし...
谷崎潤一郎 「細雪」
...さきざき高等学校から大学に進もうという志望をいだいているものにとっては...
寺田寅彦 「亮の追憶」
...「そんなことを言ったって、与八さん、そりゃ無理なことですよ、どうして、ひとりで日本中が廻れますか、第一食べても行かなけりゃならず、路用も少ないことじゃないでしょうし……」実際の生活と、経費の問題からさとらせてゆこうとしたが、与八は更に動ずるの色なく、「ええ、そのことは心配ねえんです、わしらは、この一本の鉈(なた)を持って行きますよ」七十三与八は郁太郎にかけていた片手を離して、帯に吊(つる)してあった一梃(いっちょう)の鉈にさわってお松に見せ、「わしは、東妙和尚さんから、この鉈を使うことを教えられている、これが一梃あれば、どうやら、物の形が人様に見せられるようになったから、これを持って、彫物(ほりもの)をしながら、日本中を歩いてみてえつもりだ」「まあ……では、永い間の心がけね」「ああ、東妙和尚さんもそう言わっしゃった、与八、それだけ腕が出来たら、もう田舎廻(いなかまわ)りの彫物師の西行をしても食っていけるぞい、と言われました時から思い立ちました、行くさきざき、何か彫らしてもらっては、草鞋銭(わらじせん)を下さるところからはいただき、下さらねえ時は、水を飲んで旅をしてみようと、心がけていたですよ、お松さん...
中里介山 「大菩薩峠」
...さきざきあまりかせげそうもない女をことさらねむらせてしまうというはなしはきいたことがある...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...読書は何処までも言語のさきざきまでも正確に綿密でなければならない...
西田幾多郎 「読書」
...先々(さきざき)心配ないように見えるが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...それからスルスルと行くさきざきにむずかゆい感じを起させながら胸を這って袖口から出た...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...仙太のさきざきを考えてみたって...
矢田津世子 「凍雲」
...ゆくさきざきで、たちまちその支配役が手を挙げるのである、躰操をするのではなく降参するという意味で...
山本周五郎 「思い違い物語」
...ゆくさきざきで子守や走り使いをし...
山本周五郎 「さぶ」
...何故にこのように自分の生活の行くさきざきが暗いのであろう...
横光利一 「上海」
...ゆくさきざきに戦(いくさ)のある世の中だ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...そのさきざきで求めて来た絵葉書を取出して眺めながら書きつづったもので...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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